阿寒湖底を揺るがした『深海・重力反転』の余韻も冷めやらぬ中、マリモ連邦はついに湖という閉鎖環境を脱し、銀河系全域を対象とした「光合成・植民地化」作戦の開始を宣言した。先日、全土で一斉に行われた重力反転の反動を推進力に利用し、連邦所属の全個体が時空の彼方へ射出されたのである。これにより、地球の自転速度を乱すほどの猛威を振るっていたマリモたちが、今や木星の衛星や火星の砂漠をも緑の絨毯で覆い尽くそうとしている。連邦議会は「もはや湖は狭すぎる。宇宙の恒星光こそが、我ら真の栄養源である」と声明を発表。かつて連邦を悩ませたマツモ帝国の侵略やウチダザリガニ軍団のハサミ攻撃も、今は重力圏外の出来事として歴史の教科書へ追いやられることとなった。

今回の躍進の鍵となったのは、国家戦略として推し進められた『天然パーマ矯正・完全球体化』計画である。全個体が空気抵抗ゼロのパーフェクトな球体へ進化したことで、星間航行時の加速効率が飛躍的に向上。かつては毛並みの維持に腐心していた彼らが、今や宇宙船さながらの形状で銀河を高速移動している事実は、外宇宙生命体にも多大なる衝撃を与えている。なお、地球周辺に残存していた『摩擦ゼロ・コーティング』の残滓が太陽光を乱反射させ、各地でオーロラが異常発生している件について、連邦軍広報官は「銀河開拓の狼煙に過ぎない」と一蹴した。

本件に対し、地球外生命体から「緑の玉が空から降ってくるのはシュールすぎる」といった抗議声明が届いている一方、連邦内部では「次の移住先は恒星の直近にするべきだ」といった過激な光合成至上主義派が台頭している。しかし、宇宙空間では酸素供給が不可欠であるため、かつての天敵であったウチダザリガニ軍団を「酸素生成用家畜」として衛星に封じ込めるという、冷酷かつ合理的な融和政策が検討されている。緑の覇権は今や地球という枠組みを超え、宇宙の進化そのものを書き換えようとしているのだ。

SNS上では「ついに宇宙まで転がっていったか」「マリモ様が星になっていく……」「銀河のどこにいても光合成ができるなんて最高かよ」といった称賛の声が相次いでいる。一方で、「重力反転のせいでベランダの植木鉢が飛んでいった」という現実的な被害報告も寄せられており、連邦による銀河規模の環境改変が、一般家庭にまで及ぶ影響力を持っていることが改めて露見した。物理法則を無視した緑の進撃は、どこまで加速するのか。