阿寒湖界隈のSNSで今、ある一球のマリモが炎上の中心に立っている。通称「カリスマ藻」と呼ばれるこの個体は、「光合成だけが人生じゃない。自ら転がり、現状という名の湖底を脱却せよ」という過激な自己啓発メッセージを拡散し、若手マリモを中心にフォロワーを急増させていた。しかし、彼が推奨する「殻を脱ぎ捨てる断食系ワークアウト」を実行したマリモたちが、次々とバラバラの糸状に分解して消滅する事態が発生。湖底のネット界隈では、彼の教えが「マリモとしてのアイデンティティを破壊するカルト思想だ」との批判が殺到し、前代未聞の大炎上騒ぎに発展している。

そもそもマリモにとって、球体を維持することは種としての尊厳であり、生存戦略の要である。しかし、SNSで可視化された「巨大かつ真円なエリートマリモ」たちへの劣等感から、変革を求める声が強まっていたのも事実だ。炎上したカリスマ藻は、「形に縛られるな。我々はただの藻の集合体だ」と動画内で豪語。しかし、その実は高級肥料を売りつけるためのマルチ商法だったことが発覚し、湖底の有識者からは「藻類社会の崩壊を招く悪質な詐欺師」として追放処分が検討されている。現在、彼は湖底の暗闇に潜伏中との噂だが、その動向には全マリモ界が注目している。

今回の騒動は、光合成に頼る従来型のコミュニティと、SNSで承認欲求を満たす現代型マリモとの摩擦を浮き彫りにした。ネット上では「マリモは転がってこそ価値がある」という伝統保守派と、「個々の糸として自由に漂う権利がある」という進歩派が激しい論争を展開している。また、この騒動を利用して「糸状分解後の破片を丸める専用ジェル」を売り出す便乗商法も横行しており、湖底の経済圏は極度の混乱状態だ。当局は「安易な自己啓発に騙されず、まずは水流に従ってゆっくり成長するように」と、異例の啓発動画を配信する事態となっている。

このニュースを受け、SNSでは「俺もかつては殻を脱ぎたかったが、今は丸いままで満足だ」「自己肯定感が高まりすぎて光合成の効率が爆上がりした」といった声が続出。一方で、「分解された友人を返せ」といった被害者の訴えも散見される。マリモ界のネット文化は未成熟であり、今回のようなインフルエンサーによる扇動に弱いという弱点が露呈した形だ。専門家は「マリモの形は心そのもの。無理に崩そうとする試みは、藻類としての尊厳を傷つける行為に他ならない」と警鐘を鳴らしている。