マリモ連邦の外務省は本日、かねてより懸念されていた「領海侵犯の疑い」に対し、衝撃的な声明を発表した。事の発端は、連邦北部の国境付近で観測された、数十万個のマリモによる集団同期回転である。この現象は『マリモ・デ・ダンス』と命名されており、静止していることが美徳とされるマリモの伝統的価値観を真っ向から否定する過激な運動として、周辺諸国から強い非難を浴びていた。連邦側は「これは領土拡張ではなく、単なる激しい光合成を伴うリズム運動だ」と弁明しているが、ダンスの推進力により、連邦の領土は昨日から約400メートルほど隣国側に食い込んでいる。専門家によると、今回のダンスには「より多くの太陽光を公平に分配する」という高度な政治的意図が隠されている可能性があるという。
本件の背景には、昨今の水温上昇による「沈没型」マリモの急増がある。水底に沈むことを良しとしない若手マリモ派閥は、回転速度を上げることで揚力を生み出し、強制浮上を狙う『アクティブ浮遊政策』を推進してきた。今回の国際問題となったダンスは、この政策の延長線上にあり、単なる移動手段を越えた「国家的なパフォーマンス」と見なされている。周辺諸国の淡水魚連合は、「勝手に国境が押し寄せてくるのは迷惑千万だ。せめてリズムを刻むなら、もう少しこちらに許可を取るべきだ」と猛反発。国連(国際藻類連合)は緊急会合を招集する意向だが、肝心の会議場にもマリモが転がり込んでいるため、協議の開始すらままならないのが実情だ。
世間の反応は真っ二つに分かれている。保守的な老齢マリモ層からは「祖先はただ静かに湖底で丸くなっていた」という嘆きが漏れる一方で、若い世代からは「ずっと同じ場所で光合成を待つだけの時代は終わった」「回転こそが正義」といった、過激な回転肯定論がSNS上で飛び交っている。また、一部の海外メディアからは「このダンスによって生じる微細な水流が、実は周辺のプランクトンに多大な好影響を与えている」という意外な評価も出ており、国際社会は善悪の判断に苦慮しているようだ。マリモ連邦側は引き続き「止まらない、止まれない」という強硬姿勢を崩しておらず、今後の事態は泥沼化、いや、緑化の一途を辿ると予想される。
今回の件で最も頭を抱えているのは、国境の管理を担う警備員たちだ。彼らは「静止している丸いものを数えるのが仕事だったのに、時速5キロで通り過ぎるダンス軍団をどうやって数えろと言うんだ!」と悲鳴を上げている。今のところ、強引な移動による物理的な衝突や、ダンスによる水温急上昇などの被害は報告されていないものの、この『マリモ・デ・ダンス』が世界中に波及した場合、既存の地図データがすべて無効化されるという前代未聞の事態が危惧されている。連邦側は明日の午前中に「謝罪会見」を予定しているが、その会場ですら回転しながら移動しているというから、もはや国際法が形をなしていないのは明らかだ。
マリモ連邦、国際条約を無視して『マリモ・デ・ダンス』による越境強行へ
0
伝統に縛られるのはもう古いよ