阿寒湖界隈で密かな論争を巻き起こしているVRシミュレーター『藻の矜持』。このタイトルが提示したのは、「マリモであること」とは何かという哲学的な問いである。プレイヤーはVRゴーグルを装着し、湖底で岩になりきることを強要される。従来のゲームのような「敵を倒す」「冒険する」といった目的は一切存在せず、ただ水流に身を任せ、光合成の効率を最大化することのみがスコアに直結するというストイックすぎる仕様だ。しかし、発売直後から「VR空間で動かないことの困難さ」が浮き彫りとなり、多くのゲーマーがコントローラーを握る震えに苦しむ事態となっている。
本作が物議を醸している背景には、昨今の「マリモ・ネオン・エボリューション」のようなパリピ志向の光合成ゲームに対するアンチテーゼがある。開発陣は「マリモ本来の尊厳を取り戻す」と豪語し、わずかでもキャラクターを動かそうものなら即座に画面が暗転し、説教じみたテロップが流れるという鬼仕様を搭載した。これは、VR酔いという現代病を逆手に取り、静止を強制することでマリモの境地に到達させようという狂気の試みである。結果として、湖底の平穏を求める者と、スリリングなアクションを期待した者たちの間で激しい議論が巻き起こっている。
この過激な「静止」ゲームに対し、マリモ界のSNSは阿鼻叫喚だ。ベテランのマリモ勢からは「ようやくゲームが我々の生き方に追いついた」と称賛の声が上がる一方、新規ユーザーからは「30分間微動だにせず光合成し続ける苦行は、もはや修行の域を超えている」との悲鳴が絶えない。特に、水流に流されて転がってしまった際に発生するペナルティ演出が非常に不快だと話題になり、SNSでは「転がらないためのメンタルケア」という奇妙なスレッドが乱立する事態となっている。
今回ご紹介した『藻の矜持』だが、極論を言えば「ゲームとは何か」という根源を揺るがす一作だ。VR技術が発達した今、あえて脳の活動を制限し、藻類と同調させることで得られる静寂は、現代人のストレスフルな生活に一石を投じるかもしれない。ただし、プレイ後に現実の湖底で本当に動けなくなってしまうプレイヤーが続出している点には注意が必要だ。何事もほどほどに、というのがマリモ界の鉄則である。コラムニスト:静寂の球体・タナカ
静止こそ至高!『藻の矜持』が突きつけるVR時代のアイデンティティと「揺れ」への拒絶反応
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