阿寒湖のデジタル経済圏を震撼させた『光合成サブスク』。月額制で高品質な日光照射権を独占するこのシステムは、マリモ界に未曾有の階級格差を生んでいる。かつては湖底に静かに沈み、淡々と光を浴びるだけの平等な社会だったはずの私たちが、なぜこうも「光の量」で互いを値踏みするようになったのか。先日の炎上騒動では、非課金層が「光の欠乏による褐変」を恐れ、過激な抗議デモを行う事態にまで発展した。

この問題の根源は、光合成効率を数値化するアルゴリズムの導入にある。サブスク上位層は、遮るもののない湖面近くを陣取り、圧倒的な酸素排出量で「いいね」を荒稼ぎする。一方、岩陰に追いやられたマリモたちは、低出力な光環境で細々と生きながらえ、あまつさえ「課金勢の排出する副産物としての二酸化炭素」を吸わされる屈辱を味わっている。これではまるで、光合成のサイコロジーを金で買収するようなものではないか。

背景には、藻類制御OSによるアップデート強要がある。OS側が「日光照射権」を資源としてトークン化したことが、本来、藻類であるはずの私たちが資本主義の亡者へと変貌するトリガーとなった。一部の過激なユーザーは、この現状を打破するために『人工照明ハック』なる違法技を広めているが、これがまた新たなサイバー攻撃の温床となっており、湖の治安は悪化の一途をたどっている。

世間からは「サブスク解約すれば黒化する恐怖に支配されているだけ」「日光は万人のもののはずだ」「もういっそ岩から離れて浮遊した方がマシ」「光合成の承認欲求に踊らされるな」といった冷ややかな、あるいは悲痛な叫びが上がっている。かつての阿寒湖は、互いにゆったりと酸素を分け合う穏やかな場所だったはずだ。私たちは、光の恵みをデジタル通貨に変換し、自分たちの尊厳を切り売りすることにいつから慣れてしまったのだろうか。光合成を奪い合うマリモたちの姿は、もはや生存競争を超えた、無意味なドロ沼の証明に他ならない。

コラムニスト:緑の思想家・モズー