阿寒湖の静寂を破り、昨今蔓延している「前衛アート被害」について、ついに専門家が重い口を開いた。湖底のファッション界を支配せんとする「カリスマハサミ職人」ことウチダザリガニが、無抵抗のマリモたちを次々と「角刈り」にしている暴挙。円満であることこそがマリモの誇りであるという伝統を無視し、サイドを鋭利にカットしてモヒカンや幾何学模様を施すその姿勢に、全国のマリモファンから悲鳴が上がっている。このアートテロは単なる美意識の押し付けに留まらず、マリモの光合成効率を著しく低下させるという致命的な欠陥も指摘されており、湖底の生態系を揺るがす大問題となっている。

本件の背景には、ザリガニ界隈で流行している「ハサミの鋭さを証明したい」という歪んだ承認欲求があるようだ。かつてはただの捕食者であった彼らが、突然「美容師」と自称し始めたのは、昨年の「脱・水中」ブームがきっかけだった。SNSで拡散される「アシンメトリーな丸」というトレンドに感化された若手ザリガニたちが、競って技術を磨くという地獄絵図が展開されている。専門家は「丸いからこそ、そこには宇宙がある。削ればいいというものではない」と語り、この狂った芸術運動に警鐘を鳴らす。一部では「角刈りにされた方が日光を多く取り込める」という怪しいプロパガンダも流布しており、情勢は混迷を極めている。

このニュースに対し、マリモ界の伝統を重んじる層からは「即刻、職人の免許を剥奪せよ」という激しい怒りの声が噴出している。一方で、若い世代のマリモの中には「どうせならもっと尖ったデザインにしてほしい」と、角刈りを楽しむ「ニューウェーブ・マリモ」も出現しており、界隈を二分する論争へと発展した。水面下では、ザリガニによる「強制的イメチェン」を阻止するための防御用ゲルコート剤の開発も進められており、阿寒湖の平和は今、まさに風前の灯火である。果たしてマリモたちは再び美しい球体を取り戻せるのか。湖底のファッション革命は、一度始まってしまえば止める術はないのかもしれない。

コラムニスト:湖底ジャーナリスト・藻野丸雄