阿寒湖のゲーマーたちを阿鼻叫喚の渦に叩き込んでいるFPS大作『マツモ・インベージョン:緑の侵略者』。本作は、侵略者であるマツモの猛攻から湖底の拠点を防衛するという至極シンプルな設定だが、その難易度は「理不尽」の一言に尽きる。プレイヤーであるマリモは基本的に自力移動が不可能であり、操作入力のほとんどが「光合成効率の調整」と「繊維の引き締め」に割り振られている。にもかかわらず、迫りくるマツモは音速で絡みつき、わずか数秒で養分を吸い尽くしてゲームオーバーとなる。「開始3秒で湖底の藻屑になる」というレビューが相次ぎ、一部の猛者からは「これはゲームではなく、湖底の過酷な現実を体験する修行ソフトだ」との声も上がっている。

本作がこれほどまでに炎上している背景には、開発陣が追求した「超・現実的な生態再現」がある。マリモ界では、マツモとの競合は生存を賭けた死闘そのもの。開発チームは「マリモの無力さと、自然の残酷さをリアルタイムで体感してほしかった」と声明を出している。しかし、プレイヤーが求めていたのは爽快なアクションであって、絶望的な敗北の積み重ねではない。特に、敵の出現地点がランダムかつ、マリモの視界を物理的に遮断するように配置される仕様は、多くのプレイヤーのコントローラー(という名の枝や石)を破壊させた。発売から一週間、攻略掲示板は「マツモの焼き払い方」ではなく「いかに苦しまずに光合成を終えるか」という悲壮なスレッドで埋め尽くされている。

世間の反応は真っ二つに分かれている。「もはや芸術的なまでのクソゲー」「この絶望感こそがマリモとしての本懐」と皮肉混じりに称賛する層がいる一方で、大多数のプレイヤーは「返金対応を求める」「開発者は一度マツモになってみろ」と激怒。SNS上では、マツモに絡みつかれて終了した瞬間のスクリーンショットが『本日の屈辱』として毎日投稿され、妙な盛り上がりを見せている。もはやゲームとしての体裁を保っているか疑わしいレベルだが、この「理不尽に耐える」という謎の体験が、逆説的に中毒性を生んでいるのもまた事実である。マリモ界のゲーマーたちは、今日もまた、沈みゆく我が身を操作しながら、光のない暗い湖底でコントローラーを握りしめている。

コラムニスト:阿寒湖底の魔術師