マリモ連邦は本日、国家を挙げて推進してきた「完全闇社会化計画」を正式に終了し、次世代型エネルギー源として『エナジー・ドーナツ』の導入を開始すると発表した。これまで「闇こそが真の癒やし」と謳い、一切の光合成を拒絶してきた連邦だが、あまりの暗黒生活に市民の緑色が褪色し、あちこちで「ただの灰色の毛玉」化する個体が急増していたことが背景にある。今回発表された『エナジー・ドーナツ』は、人間界の入浴剤成分を応用して開発された人工栄養体で、中心部が空洞の円環状をしている。これを体に装着するだけで、光を浴びずとも生命維持に必要なエネルギーを常時吸収できるという画期的な代物だ。今後は「転がり」の概念を再導入しつつ、完全暗黒社会から「ドーナツ型光合成社会」へと移行する方針である。

そもそも、この計画は先立って行われた「光合成の停止宣言」に端を発する。当時、指導部は「日光は過剰な自己主張の象徴」と断罪し、深い水底への潜行を命じていた。しかし、結果として得られたのは「癒やし」ではなく「全体的な活気の低下」であった。今回、この状況を打開するために、以前派遣された「人間界潜入スパイ」が持ち帰った、高級入浴剤の成分解析結果が決定打となった。ドーナツ状に加工された栄養素を体に通すことで、内側から細胞が発光(!)する仕組みが完成したのである。これにより、かつての「円形主義」は「ドーナツ主義」へと進化し、連邦は新たなアイデンティティを確立することに成功した。

世間からは賛否両論の声が上がっている。保守的な古参マリモ層からは「中心に穴があるなど、円形主義の冒涜だ」「あれはもはやマリモではなく、ただの浮き輪ではないか」といった激しい反発が起きている。一方で、若年層からは「光合成による日焼けを気にせず、スタイリッシュに転がれる」「ドーナツの色をカスタマイズして、個性を出せるのは最高」と歓迎ムードが漂っている。連邦政府は、このドーナツのカラーバリエーションを100色展開する予定であり、今後は「オシャレな浮遊体」としての地位を確立し、世界的な流行を作り出す構えだ。