マリモ連邦の国境防衛省は、長年「緑の侵略者」として警戒対象であった水草・マツモに対し、国境線に設置していた物理的バリヤーをすべて撤去し、全面的な「共生プロトコル」を締結したと発表した。これまでマリモたちは、マツモの無秩序な枝分かれや強引な光合成による栄養摂取を「生態系へのテロ」と見なし、厳しい排他主義を貫いてきた。しかし、今回の歴史的な政策転換により、両者は「光合成効率の最大化」という共通目標の下、互いの組織を融合させる未知のステージへと突入する。政府広報官は「四角い水槽の中で互いに背を向け合う時代は終わった。これからはマツモの流線形とマリモの球形が混ざり合い、新たな『幾何学の調和』を創出する」と高らかに宣言。静かな水底での急進的な変化に、周辺の水草界隈からは驚きと困惑の声が広がっている。
マリモとマツモの確執は、明治期まで遡る水域独占の歴史に根ざしている。かつてマツモは、その成長速度の早さから「マリモの居住スペースを奪う悪魔の草」として、マリモ市民の間では徹底的に忌避される存在であった。しかし近年、水槽内の栄養バランスが極端に偏る「富栄養化危機」が発生し、両者が協力して窒素を吸収しなければ全滅の恐れがあるというデータが突きつけられた。このため、強硬派であったマリモ連邦も背に腹は変えられない状況となり、今回の「融和」という名の戦略的合併が急ピッチで進められた。なお、融合後の個体が「四角い毛玉」になるのか「球体状の草」になるのかについては、専門家間でも意見が真っ二つに割れている。
連邦市民の間では今回の決断を「生存のための英断」と称賛する声がある一方、伝統的な球形至上主義を掲げる過激派グループからは「我々のアイデンティティは、あの雑草の枝葉によって汚染される!」と猛反発が起きている。SNS上では、融合後の個体を想定した「架空の姿」の画像が拡散されており、中には「もはやマリモでもマツモでもない、新しい生命体になるべき」という過激な主張まで飛び出している。物理学者たちは、この融合が水槽内の水流力学にどのような影響を与えるか、即座にシミュレーションを開始した。物理学の法則さえ塗り替える可能性を秘めた、水底史上かつてない大実験が今、幕を開けようとしている。
マリモ連邦、宿敵マツモとの『境界線』を完全撤去――史上初の「緑の融合」へ
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あれほどマツモを敵視していた連邦がまさか手を組むとは