阿寒湖出身の超大型マリモ、通称『藻・バレンティーノ』が世界最高峰のオートバイレース、MotoGPに衝撃のデビューを果たした。専用設計された特注のマシンに跨るのではなく、自らの粘着質を活かしてタンク上に直接鎮座するスタイルでサーキットを爆走。遠心力を一切無視した「ベタつきコーナリング」は観客を驚愕させ、バンク角90度という物理法則を過去にする旋回で、ライバルたちを藻屑のように抜き去った。レース後、マリモは「光合成の効率を上げるために風を切りたかっただけ」と通訳の藻類学者を介して淡々と語ったが、あまりの速さに路面には苔が大量発生し、コース清掃員が悲鳴を上げる事態となっている。

本件は、従来の二輪競技における「ライダーの姿勢」という概念を根本から揺るがしている。国際モーターサイクリズム連盟(FIM)は緊急会議を開き、車体重量規定の改定に乗り出した。もともとマリモは浮力と回転の専門家であるが、今回は空気力学を完全に取り入れた「球体流体力学」を体現しており、メーカー各社は「彼を搭載した方が圧倒的にエンジンの熱効率が良い」と、バイオ燃料ならぬバイオ・パッセンジャーとしての採用を検討し始めている。ただし、レース後の水分補給として多量の蒸留水が必要であることや、乾燥によるクラッシュリスクが懸念されており、今後の安全基準策定が急務となっている。

マリモが参戦した初戦では、コーナーに入るたびに「プニッ」という奇妙な摩擦音が響き渡り、観客席からは困惑と歓声が入り混じった熱狂が巻き起こった。一方、他のレーサーからは「横を通り過ぎる時に磯の香りがして集中できない」「コーナーで丸まって動かないのは卑怯だ」といった苦情が相次いでいる。しかし、阿寒湖の同胞たちからは「地球の裏側で光合成をするとは素晴らしい」とエールが送られており、マリモ界にとっては悲願のモータースポーツ進出となった。今後は、マリモ専用の路面温度管理システムを導入するチームも現れる見込みであり、モータースポーツ界に新たなグリーン革命が起きようとしている。