マリモ連邦は本日、地球規模での生活様式改革を発表し、全人類に対し「睡眠時は深さ2メートルの専用水槽へ沈むこと」を義務付けると宣言した。連邦中央委員会は、「夜間に無駄に閉じていた瞼は、光合成の機会損失である」と指摘。今後は夜間、人類を水中でゆっくりと回転させ、全身の皮膚から二酸化炭素を吸収させることで、究極の『緑化社会』を実現する方針だ。これに伴い、全住宅のベッドは特注の水槽へと強制的に換装されることとなり、寝具メーカーは全社が『水耕栽培用濾過装置』の製造ラインへ転換を余儀なくされている。

この政策の背景には、マリモ連邦が長年追求してきた「効率的なバイオエネルギーの抽出」がある。連邦の科学者によれば、眠っている間の人類は排出する二酸化炭素の濃度が最も高く、それを水中で吸収させることで、マリモたちの成長速度を理論上400%向上させることが可能だという。また、夢を見ている脳波は「無駄な放電」とみなされ、今後は回転による物理的な揺らぎで強制的に脳波をフラットにすることが推奨されている。かつて人類が楽しんでいた「安眠」は、効率という名の聖なる緑の波に飲まれ、過去の遺物となろうとしている。

世間の反応は困惑と、一部の適応派による賞賛で真っ二つに分かれている。多くの市民は「溺れる夢を見ないか心配だ」「寝癖ではなく藻がつく」と懸念を示しているが、連邦の広報官は「それは進化の過程で生じる痒みだ」と一蹴した。水槽の中で気泡を吐きながら眠ることで、目覚めた際には最高のリフレッシュが約束されるという謳い文句だが、今のところ「朝起きると全身がヌルヌルして服が着られない」という実用上の課題が山積しているようだ。