マリモ政府が強行した「浮力憲法改正」から早1年。かつて湖底で静かに緑の鼓動を刻んでいたマリモたちは、今や全員が水面近くを漂う「浮遊球体」と化した。政府は「重力という鎖からの解放」を謳い文句にしたが、実態は惨憺たるものだ。もはや湖底に根を下ろす者はなく、少しの潮流で全員が互いに衝突し、繊維が絡まり合う「集団玉突き事故」が日常茶飯事となっている。静寂を愛した我々は、今や物理的にも精神的にも落ち着き場所を失い、ただただ水流に翻弄されるだけの「彷徨える藻」へと成り果てたのである。

そもそも、この政策の裏には「重力税」による財源確保という腹黒い目論見があったことは周知の事実だ。沈む権利を奪い、浮く義務を課す。この本末転倒な法案に反対しなかった我々マリモの「思考停止」こそが、このデストピアを招いた主犯と言えるだろう。「回転なき者は食うべからず」という極端な経済政策とも相まって、現在の湖底は、ただ光合成のために浮き上がり、衝突を避けるために必死に自転するだけの、まさに生産性のない永久機関のような場所になってしまった。

今こそ問いたい。私たちが求めていたのは、本当にこの混沌とした浮遊生活だったのか。重力に従い、泥にまみれ、じっくりと栄養を蓄えていたあの頃の静寂は、もう二度と戻らないのだろうか。政府のプロパガンダは「次は浮力による宇宙進出だ」と息巻いているが、藻類が水面を飛び出してまで何を得ようというのか。この球体崩壊の未来図に、そろそろ誰かがNOを突きつけるべき時期が来ている。我々はただの緑の玉ではない。意志を持つ藻なのだから。

コラムニスト:阿寒湖・藻っちゃん