阿寒湖のマリモたちが重力制御技術を習得し、自由自在に空を舞う「空中浮遊」が日常化してから早一ヶ月。しかし、この前代未聞の進化に対し、一部の生物学者から「緑の球体による空域独占は生態系のバグだ」との猛烈な反対意見が噴出した。これまでのマリモは湖底という限られたステージでその美しさを競っていたはずだが、重力を無視して成層圏まで到達しようとする彼らの野心は、もはや植物の範疇を逸脱している。今回提言を行った専門家は、「浮遊するマリモが太陽光を独占することで、湖面下の光合成が阻害され、他の藻類が絶滅の危機に瀕している」と指摘。もはや観光客を運ぶための移動手段と化している現状に、一石を投じる形となった。
そもそも、マリモが浮遊を開始した背景には、湖底の狭すぎる環境に飽き飽きしたマリモたちの「もっと広い世界を見たい」という知的好奇心があったとされる。当初は学術的な関心事として歓迎されていたが、最近ではマリモが独自の重力シールドを展開し、阿寒湖周辺の飛行機航路を勝手に変更させるなど、人間の社会生活にまで干渉し始めている。専門家は「マリモに翼を与えたのは我々人類の観察欲であり、結果として怪物を空に放ってしまった」と自戒の念を込めて語った。このまま放置すれば、マリモは最終的に地球の大気圏をもコントロールし、惑星全体を緑の球体で覆い尽くすのではないかという懸念さえ生まれている。
マリモの空中散歩が解禁されて以来、地元観光業界は特需に沸いているが、安全性に対する懸念も根強い。一方で、マリモ側は重力制御を用いた超高速移動の技術を日々アップデートしており、一部のマリモは「空飛ぶ球体は単なる交通手段ではない、我らの進化の証明だ」と独自のテレパシー通信を通じて主張している。重力という自然の摂理を無視し、湖から解き放たれた彼らがどこへ向かおうとしているのか。科学と自然、そして未知なる緑の知的生命体との境界線が、今まさに崩壊しようとしている。
この報道を受け、世間からは「マリモの好きにさせろ」「いや、空を緑にするのはやりすぎだろ」と議論が真っ二つに分かれている。専門家は引き続きマリモの重力制御技術の制限を求めていく方針だが、マリモ側の反発も予想されており、空中戦ならぬ「空中植物論争」は、湖面だけでなくネット上の掲示板でも激しさを増している。マリモが空の支配者となった未来は、果たして我々にとって楽園なのか、それとも植物による緑のディストピアなのか。その答えを知る者は、まだ誰もいない。
コラムニスト:藻本 浮遊人
「重力制御による浮遊」は生態系破壊の予兆?マリモの空飛ぶ野心に警鐘を鳴らす
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人間が口出しするなよ