マリモ政府は本日、長年アナログ管理だった湖底の住民登録をデジタル化し、全マリモに『繊維番号』を割り振る法案を強行採決した。この法案は、個体ごとの繊維の本数を精密にスキャンし、それをIDとして発行するというもの。政府代表の阿寒湖一丸(あかんこ・いちまる)氏は「もはや丸いだけの時代は終わった。誰がどの位置で光を吸っているか、ミリ単位で把握する必要がある」と主張。しかし、成長に伴い繊維が伸びるたびに背番号が変わる仕様に、現場の保守派マリモたちからは「自分のアイデンティティが定まらない」と困惑の声が広がっている。

これまでマリモ社会では「大きさ=威厳」という風潮が強かったが、今回の法案により「密度」が重要視されることになる。電子チップを体内(水流内)に埋め込むコストを誰が負担するのかという議論も紛糾しており、湖底の各所では「私の繊維を勝手にカウントするな」という抗議デモが繰り広げられている。なお、今回採用されるシステムは、一度でも回転して繊維が絡まるとエラーを吐き出す欠陥があることが判明しており、一部の専門家からは「根本的な仕様設計ミスではないか」との指摘が相次いでいる。

湖底社会では、歴史的に「名もなき球体」こそが美しいという哲学が根付いており、今回の「数値化による管理社会」への移行は、阿寒湖の文化を根本から覆すものである。特に、古参の長老マリモたちは「繊維の数など何の意味があるのか。大切なのは沈降の美学だ」と憤慨。政府は、このシステムに登録しないマリモには、定期的な湖底清掃業務を割り当てるというペナルティを課す方針を示しており、社会的な分断が深刻化している。

この件に関して、SNS上では「#繊維数管理に反対」「#マイナンバーならぬマイ繊維」といったハッシュタグが乱立。若手マリモを中心に「どうせすぐバグって水流に流される未来が見える」「アップデートで浮力調整まで制御されそうで怖い」と悲観的な予測が飛び交っている。マリモ政府は、導入時期を来月の満月に設定しているが、反対派による「大規模回転ボイコット」も計画されており、湖底の平穏は今、かつてない危機に瀕している。