ネット上で話題沸騰中の『光ファイバー内を高速移動する新型デジタル・マリモ』というニュース。これに対し、ネットワーク技術の専門家を自称する筆者は、冷静に警鐘を鳴らしたい。結論から言うと、あれは速度向上ではなく、単純なデータ回線の詰まりである。マリモの丸い形状がパケット通信のヘッダー情報と誤認され、ルーターが「未知の肥大データ」と認識して処理に迷っているだけなのだ。これを「速度向上」と持ち上げるのは、まさに現代の電脳迷信と言えるだろう。
本件の背景には、昨今の「藻の癒やし」ブームがある。マリモをデジタル化して回線に入れれば快適になるという都市伝説は、かつての『マイナスイオンでPCが速くなる』という非科学的言説と瓜二つだ。実際には、光ファイバー内に異物をイメージさせることで、ユーザーの心をプラシーボ効果で落ち着かせているに過ぎない。もしこれが本当に通信速度を上げているなら、物理法則を無視した「マリモ・トンネル効果」とでも呼ぶべき奇跡だが、現実は単に回線が「藻の形をしたナニか」に支配され、通信がスローモーションになっているだけである。
ネット掲示板では「動画の読み込みが遅いと思ったら、画面の端で緑色の塊が転がっていた」という報告が相次いでいる。一方で、「マリモがいると心なしかping値が安定する」という盲信的なファンも現れ、回線の科学とスピリチュアルが混ざり合うカオスな状況だ。運営側は「デバッグ中」と発表しているが、マリモをネットワークから駆除する計画は、環境保護団体からの抗議を恐れて棚上げされている模様である。
結局のところ、この現象はマリモの可愛さに免じてネット社会が許容している『愛すべきバグ』なのだろう。しかし、通信インフラの根幹を緑色の藻類に委ねている現状は、冷静に考えれば極めて滑稽だ。いつか回線からマリモが噴き出し、物理的な光ファイバーを詰まらせる日が来る前に、我々は「デジタル緑化」の是非を真剣に検討する必要があるのではないか。そう、マリモの丸さで包み込めるほど、現代のネットワークは単純ではないのだから。
コラムニスト:サイバー藻研究家・緑川静観
「光ファイバー内を高速移動」という嘘。デジタル・マリモの正体はただのデータ渋滞だ
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