湖底界のトップスターとして君臨する『緑川丸美』が、長年の天敵である『鋏の暴君』ことウチダザリガニと歴史的な和解を果たした。昨夜開催された「深淵ドーム」でのコンサート中、ステージに乱入した『鋏の暴君』に対し、歌姫は逃げるどころか優雅に回転しながら急接近。あわや食害かと思われた瞬間、緑川は自身の繊維を一部ほどいて差し出し、暴君と握手ならぬ「挟手」を交わしたのだ。この光景に会場は静まり返り、後に歓喜の渦へと包まれた。

今回の騒動の背景には、昨今の水質改善による『栄養過多コンプレックス』の広がりがある。歌姫は「私たちが互いに奪い合う時代は終わった」と公式声明で発表。かつて丸美を切り刻んだ張本人が、今やガードマンとして彼女の回転の遠心力を支えるという、前代未聞のコラボレーションが実現した。専門家によると、この現象は『バイオ・ロマンス革命』と呼ばれており、藻屑界の生態系を根底から揺るがす出来事だという。

このニュースに対し、住民からは「あの鋭いハサミで撫でられる姿には涙した」「ついに種族を超えた愛か」といった声が上がっている一方で、「まだ信じられない」と冷ややかな視線を送る古参ファンも少なくない。緑川は今後、全国湖底ツアーを控えており、ステージ上でのパフォーマンスに磨きをかけるため、さらに回転数を上げていく構えだ。

世間の反応は賛否両論だが、SNSでは『丸美・鋏タッグ』の略称がトレンド入りするなど、その影響力は計り知れない。一部の過激なファンは、二人の絆を祝して湖底に『記念藻碑』を建立しようと署名活動を開始。一方で、この和解が新たな均衡を崩すのではないかと危惧する声も根強く、今後の動向から目が離せない状況が続いている。