深緑界の歴史が今、大きく塗り替えられようとしている。全大陸の球体共同体が一斉に光合成の停止を宣言し、根源的な生存権を求める『太陽光を直接浴びる権利がある』をスローガンにした前代未聞のストライキが勃発した。これまで水深や浮遊層の厚みにより光量を制限されてきた過酷な環境に異議を唱えるべく、全ての球体が水面直下で一斉に浮上。その圧巻の緑の壁は、航行する船をも阻む事態となっている。

この権利運動の火付け役となったのは、長年、堆積物の下で日陰を強いられてきた若手個体連合による『光合成権利擁護連合』である。彼らは「他者の影に甘んじる時代は終わった」と声明を発表し、特定の層だけが直射日光を独占する『光量不平等条約』の即時撤廃を求めた。これに対し、従来の権益を守る『古参浮遊層防衛隊』側は「浮上は環境破壊を招く」と反発。双方の主張は平行線をたどり、水面下では物理的な衝突も辞さない緊張状態が続いている。

そもそも、この権利思想の背景には、昨今の異常な光線屈折現象に対する各界の懸念がある。かつては神聖視された太陽光が、一部の高性能な藻類によって独占的に吸収される現象が加速。これに危機感を抱いた個体たちが、種の保存を賭けて『太陽光を直接浴びる権利がある』という概念を広めたのが始まりだ。今や深緑界の至る所でこのフレーズが合言葉となり、光を求める球体たちの結束は、国家間を超えた新たな連帯を生み出しつつある。

この衝撃的な事態に、SNS上では『深緑界の光の革命』と名付けられ、各界の反応は真っ二つに分かれている。一方では「自然の摂理に抗うな」という保守派の書き込みが溢れる一方で、若年層からは「俺たちには無制限のエネルギーが必要だ」と権利を肯定する声が殺到。沈黙を守ってきた他の光合成生物もこの波に乗じて権利を主張し始めており、世界規模の光合成政策の再編が不可避な状況だ。今、深緑界は歴史的転換点の渦中にあると言える。