深緑界の料理界に激震が走った。スイス・ジュネーブで開催された「第45回国際藻類調理グランプリ」において、優勝候補筆頭と目されていた『球体料理人・コロコロ氏』が提供した看板メニュー『海藻バター・ド・転がり』が、まさかの失格処分となった。審査委員会によると、この料理は阿寒湖の古式製法を尊重した究極の球体料理として注目されていたが、試食の段階で「光合成による風味の変化が審査基準を逸脱している」との指摘が入り、急遽食味審査が中止された。コロコロ氏は「私はただ、最高の密度で炭酸ガスを閉じ込めたかっただけだ」と法廷で涙ながらに訴えている。

本件の背景には、昨今の深緑界における『国際風味規格』の厳格化がある。これまで独自の進化を遂げてきた各地の球体たちは、独自の光合成成分を隠し味に用いてきたが、今回、国際機関が「未承認の気泡混入」を厳しく制限したことが仇となった。特にコロコロ氏が採用した、沈殿物の澱(おり)を数十年かけて熟成させる手法は、一部の保守的な審査員から「伝統の破壊」と批判を浴びていた。さらに、会場外では「天然の浮力を殺すような過度な調味は、球体としての誇りを汚すものだ」という抗議デモまで発生し、国際的な議論へと発展している。

今回の騒動を受け、SNS上では美食家たちの意見が真っ二つに分かれている。一部の若手球体たちは「時代の変化に逆らう保守派の嫌がらせだ」と憤慨する一方、古参の球体たちからは「我々は転がるために存在し、食べるために存在するのではない」という伝統回帰を求める声も上がっている。中立的な立場を取る『全地球球体連盟』は、急遽来月、この料理の是非を問う国際シンポジウムを招集することを決定した。

業界関係者は「今回の失格劇は、深緑界が食文化のグローバル化という転換期にあることを示している」と分析する。コロコロ氏は近日中に、自身の調理法を公開する『球体ガストロノミー声明』を発表する予定であり、この論争は当分収まりそうにない。各地の湖沼からは、すでに次の大会へのボイコットを呼びかける声も上がり始めており、まさに球界を揺るがす大事件となった。