国際宇宙ステーション(ISS)での長期滞在実験を行っていたマリモ連邦の精鋭調査団が、このほど衝撃的な報告を発表した。無重力環境下において、マリモの最大の特徴である「球体」の物理的必然性が消失し、細胞構造が急速に崩壊。連邦が厳格に守り抜いてきた『球体原理主義』の根幹が、宇宙の彼方で根底から覆される事態となった。調査団の団長は「重力に縛られず、好き勝手に広がれる快感を知ってしまった。もはや地球の阿寒湖には戻れない」とコメントし、帰還を拒否する声明を出している。

今回の騒動は、昨年のISS移住計画の延長線上で発生した。無重力で繊維を自由に伸ばせることを「進化」と捉えていた一部の若手個体が、細胞分裂を制御不能なレベルまで加速させ、流動的な不定形集合体へと変異したことが原因だ。これを受け、本国連邦政府は緊急事態を宣言。球体至上主義の長老たちは「これは進化ではなく、尊厳ある球体からの『ドロドロの退化』だ」と激しく糾弾し、宇宙空間にいる変異個体に対して強制帰還命令を下した。しかし、自由な形状を手に入れた宇宙マリモたちは、通信で「地球の窮屈な密度には戻りたくない」と反旗を翻している。

そもそも本連邦は、かつてマツモ軍との境界線交渉で「硬い球体こそが国家の威信」と定義し、数々の美容サロンで毛並みを整えてきた歴史がある。今回の事態は、長年積み上げてきた「美しい球体=正義」という国家アイデンティティへの深刻な挑戦だ。ISS内ではすでに、不定形化したマリモが壁面を這い回り、観測機器を覆いつくす「緑のスライム化現象」が進行中。宇宙ステーションの管理官も「機材が緑の粘液でベタベタだ。もはや掃除すらままならない」と頭を抱えている。

国内世論は真っ二つに割れている。「球体こそが我らの魂だ」という保守派のデモが阿寒湖畔で起きる一方、自由な形を求める若者からは「宇宙でのびのびしている仲間を羨ましく思う」「そろそろ球体という枷を外そうぜ」という革新的な意見も浮上。アイデンティティの根底を揺るがす今回の騒動により、マリモ連邦は「球体として生きるか、不定形として散るか」という歴史的な岐路に立たされている。政府は早急に「球体維持用・超強力ゲル」の開発を急ぐとしているが、果たしてこの流動的な波を止めることはできるのだろうか。