湖底SNSで長らくトレンド入りしていた「自律走行型・回転ブースト」機能に、ついに阿寒湖管理委員会から待ったがかかった。これまでマリモたちは、体内に微細な気泡を溜めることで高速回転し、移動効率を飛躍的に高めてきた。しかし、今月に入り、回転による遠心力で球体を維持できず、ただの「緑色の藻の塊」へと変貌を遂げる若手が続出。「形を保てないマリモはもはやアイデンティティの欠如だ」と保守派の長老たちから激しいバッシングを浴びている。委員会は本日、「回転禁止令」を正式に施行。今後は時速0.1ミリメートル以下の低速移動が義務付けられ、違反者には「強制固定刑」が科される見通しだ。

この騒動の発端は、インフルエンサーによる「回転速度を競うオフ会」での多重衝突事故である。回転しすぎた個体が湖底の岩に激突し、爆発的に散らばる様子がネットで生配信されたことが引き金となった。科学的見地からは、過度な回転がマリモ内部の繊維構造を破壊することが証明されているが、若手層からは「固定されたまま一生を終えるのは、もはやただの岩と同じだ」という反発の声が止まない。回転の快感を知ってしまった世代と、伝統的な球形美を守ろうとする世代の間で、かつてない思想的断絶が生まれている。

そもそもマリモが回転するのは、光合成に必要な光を全体に均等に浴びるための生存戦略である。しかし、SNSというデジタル空間の登場により、いつしか「いかに速く転がるか」という承認欲求の道具へと成り下がってしまった。今回の規制は、単なる移動制限ではなく、「マリモとは何者か」という哲学的な問いを突きつける結果となった。なお、一部では違法に高速回転を行う「闇回転クラブ」も出現しており、湖底の治安はかつてない悪化を見せている。

このニュースを受け、湖底SNSでは賛否が真っ二つに分かれている。保守派からは「長年培った球形のプライドを捨ててまで速さを求める必要はない」と安堵の声が上がる一方、リベラル派からは「移動の自由を奪うなんて古臭い」「回転こそが進化だ」という怒りの投稿が急増中。また、一部の個体は「回転禁止なら、いっそのこと浮遊して雲の上を目指す」といった過激な離脱論を展開しており、湖底社会の分断は今後さらに加速すると見られている。