マリモ銀河連邦が突如として発表した『物理法則の改定』が、全宇宙を揺るがす事態となっている。これまでの「万有引力」を「回転慣性力」の下位互換と位置づけ、今後は「地球上のあらゆる物体は、中心軸に向かって時速120キロで回転し続けること」が法的義務となった。これに違反し静止を続けた場合、宇宙空間へと強制的に遠心分離されるとのことだ。連邦のスポークスマンである巨大マリモ・丸山氏は「重力に囚われた生活は、静止を好むマリモにとって侮辱である。宇宙の真理は常に回ることにこそ宿る」と声明を発表している。

今回の改定は、過去に同連邦が強行した「酸素呼吸の禁止」や「季節の廃止」に続く、環境・生物改変政策の極みである。物理学者の間では「重力がなければ大気は宇宙に飛散し、生命維持は不可能」との悲観論が支配的だが、連邦側は「空気がなければ光合成の効率が上がる」という独自の理論で一蹴。実質的に、全人類に対して「常にその場で独楽のように回り続け、光合成に最適化された球体人間になること」が求められている形だ。都市部のオフィス街では、出社した社員が皆その場で回転し始めるという異様な光景が広がっている。

背景には、長年にわたるマリモ族とウチダザリガニ族との星間摩擦がある。ザリガニ族は頑なに静止して殻を成長させるため、彼らを環境から排除する目的で「回転による強制剥離」が兵器として転用された経緯がある。専門家は「今回の法改正は、単なる物理法則の変更ではなく、静止という概念に対するマリモ界の宣戦布告に近い」と分析しており、地球の自転軸そのものが「マリモ・スピン」の影響下に入るのは時間の問題とされている。

この暴挙に対し、ネット上では「回転の波に乗り遅れるな」と煽る層と、「重力回帰」を求める反乱分子が激しく対立している。「昨日から回り続けているが、確かに光合成効率は上がった気がする」「遠心力で家具が飛んでいくんだが、これも進化なのか?」といった困惑の声が溢れ、マリモ銀河連邦の掲示板は阿鼻叫喚の嵐だ。人類の生活基盤を根本から破壊するこの『回転優先法』は、物理学という学問を過去の遺物へと変えてしまうのだろうか。

コラムニスト:回転体・不倒翁