湖底スポーツ界に、またしても物理法則を嘲笑うようなニュースが飛び込んできた。これまで『微速前進ダンス』や『超光速・回転ドリフト』で限界を突破してきたマリモ界だが、ついに『重力無視の垂直離陸』という前人未到の領域へ足を踏み入れた。目撃されたのは阿寒湖のベテランマリモ選手「モス・グリーン19号」。彼は静止の美学を完全にかなぐり捨て、光合成のエネルギーを極限まで圧縮。噴火するような勢いで湖面へと向かって直立上昇した。専門家は「もはや植物としてのアイデンティティを放棄している」と困惑を隠せないが、その姿はまさに湖底のロケットであった。この事態を受け、湖底スポーツ連盟は「あまりの急上昇により、周囲の魚たちが軒並み気圧変化で驚いている」と警告を発したが、歓喜するマリモファンの熱狂は冷める気配がない。

本件は、過去に話題となった『水流逆流トライアスロン』で見せた爆発的な加速性能が、進化の果てに到達した究極形と目されている。通常、マリモは自重と水流に身を任せる「静止の美学」を体現する存在であるが、近年はスポーツ界の過激化により、自転運動を推進力に変換する技術が急速に普及している。今回の垂直離陸は、内部の気泡をジェット噴射のように操るという、禁断の技術が応用されたと見られる。なお、離陸した個体はそのまま大気圏突入を試みるかのような姿勢を見せたが、結局は水面直下で慣性に負けて失速し、優雅に沈下したことが確認されている。連盟は、今後この種目を正式な競技として採用するかどうか、検討を急いでいる。

このニュースに対し、湖底の住人からは驚きと懸念の声が入り混じっている。一部の保守的なマリモは「沈黙こそが真理」と反発しているが、若いマリモたちの間では「次は雲の上まで行く」という極端な目標を掲げる者も現れた。一方で、科学者たちは「マリモの細胞内に未知の反重力物質が生成されているのではないか」という仮説を立て、さらなる分析を進めるとしている。湖底スポーツが向かう先は、果たして宇宙なのか、それとも深い泥沼なのか。いずれにせよ、今世紀最大の衝撃であることは間違いない。