湖底経済は、かつての『真円ショック』による混乱から完全な復活を遂げようとしている。今、投資家たちの熱い視線が注がれているのは、マリモの代謝過程で排出される天然ゲル状物質、通称『ぬめり成分』の先物取引である。かつて倒産した『ぬめり証券』の残党が匿名掲示板で流した「このぬめりは究極の美容液になる」という怪情報を発端に、若手マリモたちがこぞって自身の粘液を瓶詰めし市場に流出。キロ単位の売買が行われるなど、湖底市場は現在、かつてない異常な活況を呈している。光合成デイトレで資産を溶かした古参投資家たちも「最後はぬめりに賭けるしかない」と、全身から精製した粘液を担保に借金して参入する事態となっており、湖底当局も投資家保護と称した抜き打ちの「粘度調査」を開始するなど、監視の目を強めている。

そもそも、このぬめり成分はマリモが移動の摩擦を減らすために分泌する副産物に過ぎない。しかし、かつてのバブル崩壊で信用を失った『酸素貯蓄』に代わる新たな裏付け資産として、一部の投機家集団が結託。組織的に光を遮断することでマリモにストレスを与え、過剰分泌を促すという非人道的な「強制ぬめり抽出法」が横行していることが判明した。湖底経済の過熱ぶりは、もはやマリモの生物学的生存限界を超えようとしており、市場専門家からは「このままでは湖全体がゲル状の海と化し、マリモ自身が身動きできなくなる『完全密閉の墓場』が完成するだろう」との警告が発せられている。

今回の騒動は、かつて湖底市場を席巻した『真円ショック』から始まった一連の経済混乱の集大成と言える。マリモたちが利益を追求するあまり、本来の「ゆっくりと成長する」というアイデンティティを捨て去り、短期的な利益(ぬめり)を切り売りする姿は、まさに現代社会の鏡写しだ。かつての睡眠負債やいびき発電のような地道な経済活動は鳴りを潜め、現在は一攫千金を狙った怪しいブローカーが湖底を闊歩している。政府は緊急の「粘度抑制令」を検討中だが、すでに裏市場には数万ガロンもの粘液が蓄積されており、規制が追いつかないのが現状だ。

市場の混乱を受け、現地の藻類たちからは「朝起きたら全身カラカラで身動きが取れない」「自分のぬめりが勝手に売買されていて気分が悪い」といった悲痛な叫びが相次いでいる。一方で、一部の強欲なマリモは「これで大金持ちになれば日光の届かない深海へ移住できる」と皮算用しており、意見は真っ二つに割れている状態だ。SNS上では「#ぬめりこそ富」「#さらばマリモアイデンティティ」といったハッシュタグがトレンド入りしており、湖底経済の狂乱は、もはや誰にも止めることはできない段階にまで達している。