阿寒湖の深部にて、従来の「浮上」や「回転」といった重力に逆らうスポーツとは一線を画す新競技、『シンクロナイズド・沈没』が正式開催された。この競技は、マリモたちがどれだけ美しく、かつ一糸乱れぬ動きで湖底へ沈んでいけるかを競うもので、落下時の水の抵抗をいかに芸術的に受け流すかが勝敗を分ける。優勝したマリモ軍団は、泥を巻き上げない完璧な「入水」を披露し、審判団から満点の評価を獲得した。「ただ落ちるだけ」という単純明快なルールが逆にマリモたちの美学を刺激しており、今後は着泥後の形状維持を争う「泥着(どろちゃく)部門」の創設も期待されている。なお、勢い余って沈みすぎたマリモが湖底の岩盤に激突するトラブルも散見されるが、専門家は「それも含めての芸術」と強気の姿勢を崩していない。

本競技は、かねてより飽和状態にあった高速系マリモスポーツへのアンチテーゼとして爆誕した。動くことよりも「いかに優雅に重力に従うか」という、植物特有の怠惰さと高貴さを融合させたコンセプトが、若手マリモ層を中心に熱狂的な支持を集めている。大会運営委員会によると、今後は沈下中のバブルリング生成を義務付ける「加点ルール」の導入も検討されており、マリモのスポーツはさらなる混沌の時代へと突入しそうだ。

このニュースに対し、界隈では「マリモは動かざるものという概念を逆手に取った天才的な発想だ」「沈むだけで称賛されるとか、我々社会人にはない贅沢だな」「泥着時のフォントのような形状がたまらん」と、驚きと感嘆の声が上がっている。一方で、保守的な古参マリモからは「沈むのはただの重力だ、我々の矜持は浮遊にある」という批判的な意見も出ているが、その反論すらも沈みながら行うのが現在のトレンドとなっているようだ。