マリモ専用コントローラー『抱きつき丸』が、ゲーマー界隈で静かなブームを呼んでいる。「限りなく藻に近い操作感」という謳い文句で、マリモの微細な振動をプレイヤーにフィードバックする画期的なデバイスだが、この潮流に待ったをかける意見が浮上している。一部の熱狂的ゲーマーが、VRやコントローラーを通じてマリモの感情を「解読」したと主張する事態に対し、藻類学者からは「それは単なる静電気のノイズに過ぎない」と冷静な批判が相次いでいるのだ。

そもそも、マリモは光合成と静かな沈殿を愛する孤高の存在である。彼らの生態を無視し、人間側の都合で「今、彼は怒っている」「これは愛の振動だ」と解釈するのは、マリモに対する一種のハラスメントではないだろうか。コントローラーの感触に溺れ、マリモをただの「動くペット」や「感情のある相棒」として扱おうとする風潮は、本来の生態観察の尊さを損なっていると指摘されている。

実はこのデバイス、内部に超高感度センサーを搭載しており、マリモがほんの数ミリ揺れただけでコントローラーが激しく振動する仕組みとなっている。しかし、その振動の多くは水流や微細な気泡によるものであり、意志など存在しない。かつて「日光の角度」で失格となったRTA勢が、このコントローラーを使って光合成のタイミングを測ろうとするなど、本来の目的から逸脱した使い方も目立っており、マリモの育成環境を悪化させる懸念も指摘されている。

この件に関し、ネット上では「マリモの尊厳を守れ」という保守派と、「最新技術で藻とシンクロしたい」という進歩派が激しい論争を繰り広げている。結局のところ、真のマリモ愛好家とは、コントローラーに頼らず、水槽の前でじっと動かない藻を眺め続けられる者だけなのかもしれない。技術が進化すればするほど、私たちはマリモ本来の「沈黙の美学」から遠ざかっているようだ。

コラムニスト:藻屑 拾造