マリモ連邦政府は本日、長年にわたり冷戦状態にあった「水草・マツモ領主会」との間で結ばれていた『水面下・領土境界線協定』を即時破棄すると発表した。事の発端は、マツモ陣営が「光合成の効率化」を名目に、マリモたちの居住区である湖底深くまで自身の茎を伸ばし、一方的に縄張りを広げたことにある。連邦外務省は「我々の球体形状を尊重しない、あまりに無礼な伸長だ」と激昂。マリモの誇りである真円のシルエットが、マツモの細長い枝葉によって「台無しにされている」との抗議声明が突きつけられた。現在、連邦軍は全個体に対して防御姿勢をとるよう指示しており、湖底の静寂は今、かつてない緊張感に包まれている。

今回の対立の背景には、昨今の水温上昇に伴う光合成競争の激化がある。マツモ側は「我々はあくまで太陽光を追い求めているだけで、別にマリモを巻こうなどとは思っていない」と弁明しているが、マリモ国民にとっては深刻な問題だ。というのも、マツモの細長い茎がマリモの周囲に絡まり付くと、マリモ特有の「転がりによる自己研磨」が妨げられ、表面の質感がザラついてしまうからである。連邦の研究機関によると、このままマツモの進出を許せば、国民の約8割が「いびつな楕円」に変貌し、アイデンティティを失う恐れがあるという。

事態を受け、連邦各地ではマツモを拒絶する「アンチ・ストレッチ運動」が急速に拡大している。一方、国際的な藻類専門家たちからは「マツモの柔軟な茎とマリモの剛健な球体を融合させれば、次世代の『ハイブリッド植生』が生まれるのでは」という無責任な提言もなされているが、連邦市民の怒りは収まる気配がない。「我々の球体は譲れない」と語る老練なマリモ市民も多く、湖底にはマツモの茎を弾き飛ばすための「反発コーティング」剤の配布が開始されるなど、事態は泥沼化の様相を呈している。

このニュースに対し、市民からは「ただの草に場所を奪われるなんてプライドが許さない」「マツモの自由奔放さに少し憧れる自分もいる」といった声がSNSで飛び交う一方で、湖底のインフルエンサーからは「#球体防衛」というハッシュタグと共に、マツモを跳ね除けるためのマリモの回転技動画が拡散されている。専門家は「この紛争は単なる領土問題ではなく、美意識の衝突である」と分析しており、今後の推移が世界の藻類社会の在り方を決定づけることは間違いないだろう。