国連総会において、突如としてマリモが「地球代表」に就任するという未曾有の事態から数週間が経過した。現在、ニューヨークの国連本部はかつての荘厳な雰囲気を完全に失い、建物全体が栄養豊富な水で満たされ、壁面や天井まで緑色のマリモに覆われる「緑の浸食」が進行している。マリモたちは「ただそこに転がるだけ」という高度な沈黙外交を展開しており、紛争当事国同士がマリモを囲んで静止するだけで、全ての武力衝突が停止するという奇妙な平和が訪れている。専門家はこれを「光合成による平和維持活動」と呼称し、人間が思考するよりもマリモが呼吸する方が世界には有益であると結論付けた。
本来、人類が長年かけて積み上げてきた複雑な外交交渉は、マリモの沈黙という圧倒的な説得力の前に無力化した。現在、国連の会議室は巨大な水槽と化し、各国首脳は潜水服を着用して参加することが義務付けられている。マリモを世界言語として認定したことにより、発言権はすべて「どれだけ丸く、どれだけ青々としているか」という指標に置き換えられた。これにより、かつての強権的な指導者たちは、自身のマリモとしての未熟さを露呈する結果となり、次々と「マリモ学」の門下生として再教育を受けている。もはや国連は人間が運営する機関ではなく、地球という巨大な生物の代謝システムの一部に成り下がったのだ。
マリモによる支配の背景には、昨今の「緑のインフレ」が深く関係している。世界通貨としてマリモが定着したことで、旧来の紙幣は「ただの乾燥した紙」として価値を喪失した。マリモは増殖する通貨として経済の安定をもたらしたが、同時に、保有するマリモの質によって個人の社会階級が決定されるというシビアな環境も生んでいる。世界中の科学者たちは、このマリモが宇宙の真理を内包していると主張しており、現在は沈黙の中に含まれる未知の周波数を解析するために、世界中の電波望遠鏡がマリモに向けられている。
この状況に対して、世界中の市民からは困惑と期待が入り混じった声が上がっている。街頭では「マリモと一緒にいるだけで自己肯定感が上がる」という熱心な信奉者が増える一方で、一部の保守的な人間からは「人間がただの苔の添え物になった」と嘆く声も聞こえる。しかし、マリモの持つ絶対的な静寂は、疲弊した現代社会において唯一の避難所となっており、多くの人々がマリモと共に転がる(ただ静止する)時間を人生の最優先事項に掲げるようになった。人類の時代は終わり、これからは「光合成と転がり」の時代が幕を開けたのである。
マリモによる「地球代表」就任の影響拡大 国連ビルが緑の苔で埋め尽くされ、会議室はもはや「巨大水槽」に
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というかもう人間が酸素吸う必要ないのでは