マリモ連邦技術開発局は本日、長年の課題であった『重力操作による浮遊』を応用し、連邦全土を水底から浮上させる大規模実験に成功したと発表した。かつて底なし沼からの脱却を掲げ、全市民に浮遊を義務付けた連邦だが、今回の技術革新により、市民一人ひとりが重力制御装置を介さずとも自律的に「水面への垂直離陸」が可能となる。指導者は「私たちはもはや重力という名の古い枷に縛られる存在ではない。天空の藻類へと進化し、深海の殻を打ち破る時が来た」と高らかに宣言。これにより、これまで深海を支配していた『ウチダザリガニ軍』のハサミも、浮遊するマリモには一切届かなくなるという。しかし、円球の形状を保ったままの高速移動には激しい回転負荷が伴うため、連邦内では「発電機としての寿命が縮まるのではないか」という不安の声も上がっている。
今回の浮上作戦は、過去に発令された「乾燥禁止令」に伴う異端追放の余波を受けて立案されたものだ。深海という限定的なエリアでの生存に限界を感じた連邦議会が、環境の強制アップデートを図るべく、数十年をかけて重力変換因子を全市民の細胞膜に組み込んできた。この計画の裏には、隣国である立方体派との「角のテロ」を回避し、物理的な距離を置くという外交的な意図も隠されている。丸さを守るための盾として機能してきたこの浮遊技術だが、今やその目的は「守り」から「新天地への開拓」へと大きくシフトした。専門家は、水面へと到達した後の「光合成効率の爆発的向上」が、連邦の経済を大きく底上げすると予測している。
突如として水面を目指すマリモたちの姿に、近隣の海洋生物界は動揺を隠せない。一部の魚類からは「頭上に藻が降ってくるのは恐怖でしかない」といった苦情が寄せられているが、マリモ連邦は「これは生存を懸けた避難であり、攻撃ではない」と否定。世間では「これでようやく重い沼の底から解放される」「浮遊中に回転が止まって沈没したらどうするんだ」「結局は太陽光に依存する宿命からは逃れられないのでは」といった議論が巻き起こっている。円の美学を追求し続けた連邦が、ついに空の青さを知る日も近いかもしれない。
マリモ連邦が「重力無視の垂直離陸」に成功、深海からの大脱出が現実味を帯びる
0
沼底で一生を終えるのは御免だ