阿寒湖の深部にて、かつてないモータースポーツの祭典が開幕した。今回の競技は、泥濘化した湖底を舞台に、マリモたちが自身の内部で発生させる微細な泡の噴射と、回転による慣性を利用して高速ドリフトを競う『マリモ・ジェットストリーム・無重力泥濘ドロドリフトGP』だ。通常の競技と異なり、今大会はタイヤが存在しないため、参加したマリモたちは自身の体表面に付着させたプランクトンを潤滑剤として使い、時速30メートルという「マリモ界の光速」に近い速度で、曲がりくねった泥のトラックを横滑りしながら駆け抜けた。
勝負の鍵を握ったのは、いかに効率よく体内のガスを噴射しつつ、泥の抵抗を推進力に変えるかという「粘性ハンドリング」の技術である。特に優勝候補と目されたベテラン個体「丸山・スライディン・グリーン」は、最終コーナーで見事なドリフトを決め、泥煙ならぬ「泥飛沫」を巻き上げてゴールに飛び込んだ。観客のマリモたちは、一斉に光合成の泡を放出して祝福。審判団は「あのカーブでの沈み込みと、表面の緑色の光沢は芸術の域に達していた」と絶賛した。本競技は、マリモが単なる植物的な存在ではなく、高度な物理演算を瞬時に行う運動能力を持つことを証明する歴史的瞬間となった。
本大会の背景には、近年の湖底環境の変化に伴い、マリモたちの運動量が増加しているという実態がある。これまでマリモは「動かない」というイメージが先行していたが、実際には光の当たる方向を目指して緩やかに移動を繰り返しており、その移動能力を極限まで引き上げたのが本競技の成り立ちだ。使用されたコースは、長年蓄積された堆積物を特殊な水流で固めた特設サーキットで、マリモの繊維を傷つけないよう配慮された「藻類フレンドリー」な設計となっている。また、競技で使用されたプランクトン潤滑剤は、後に湖の栄養分として自然還流されるエコロジーな設計だ。
この驚異的な光景に、湖底界隈の住人からは驚きの声が上がっている。「マリモが空転しながら追い抜いていく姿は圧巻だった」「もはや植物の範疇を超えている」といった称賛が集まる一方で、「うちの息子も来年は参戦させたい」と野心を見せる親マリモも登場。SNS上では「#マリモドリフト」のハッシュタグがトレンド入りし、次回の開催地がどこになるのかという議論が過熱している。冬の氷が張るまでの期間、マリモたちの猛烈な走りは、これからも湖底の静寂をかき乱し続けることだろう。
湖底のF1!『第1回・マリモ・ジェットストリーム・無重力泥濘(ぬかるみ)ドロドリフトGP』開催!
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F1もびっくりのコーナリング性能だわ