湖底SNSにおいて、マリモたちを標的にした新手の詐欺『マツモ・フィッシング』が急増している。この手口は、マツモの偽アカウントが「極上の光合成スポットを共有する」と誘い出し、マリモを特定地点へ誘導して、水流を使ってマツモの枝に強引に絡め取るというものだ。被害に遭ったマリモは、マツモの長い茎にぐるぐる巻きにされ、そのまま湖面の観光業者に「水中リース」として出荷されそうになるという前代未聞の事態となっている。これに対し、マリモ界のセキュリティ機関『藻類防衛軍』は「不審なマツモからのDMには絶対に応じるな」と緊急声明を出した。

本件の背景には、昨今のインテリア業界で「マツモとマリモの同居」というレイアウトが流行していることがある。マツモ側はこのブームに便乗し、マリモを物理的な「重し」や「装飾品」として利用しようと画策。湖底SNSのアルゴリズムを悪用し、マリモの関心が高い「日光のスペクトル分布」という単語をフックにした偽情報を流布していたことが判明した。マリモ側は完全なる球体というプライドを守るため、これに抵抗しようと『完全隔離防壁』の設定を急いでいるが、マツモのしぶとい蔓(つる)による物理攻撃には手を焼いているのが現状だ。

このニュースを受け、湖底のネット世論は騒然としている。「あのアカウント、アイコンが細長くて怪しいと思ったんだよ」「俺も昨日、美味しい水流の話をされて危うく絡まるところだった」といった被害報告が相次ぐ一方、一部の過激なマリモは「マツモと絡まることで独自のテクスチャが生まれる」と、詐欺をファッションの一種として肯定する『絡まり信者』まで出現。湖底SNSの運営は、マツモ特有の「ネバネバしたメッセージ」を自動削除するフィルタリングを導入する方針だが、いたちごっこが続いている。

今回の騒動は、単なる迷惑行為を越え、マリモと水草という種族間の深刻な対立へと発展しつつある。専門家は「マツモ側も光合成が捗らず必死なのは分かるが、マリモを拉致するのは論外。これ以上エスカレートすれば、阿寒湖全域を巻き込んだ『水草刈り取りキャンペーン』が始まってしまう」と警告。マリモたちは今、甘い勧誘を拒絶し、孤高の球体としての矜持を保てるかという正念場を迎えている。