マリモ連邦政府は本日、長年国是としてきた「絶対的球体主義」を廃止し、個々のマリモが望む形状へ変異することを認める「多面体開放令」を施行した。これまで連邦は、幾何学的な完璧さを維持することが光合成効率を最大化する唯一の道であると説き、立方体化や多面体化を試みる者を「反円派の過激分子」として冷遇してきた。しかし、昨今の「太陽の人工栽培」プロジェクトに伴う過剰な光合成環境が、一部のマリモに「角を生やす」という想定外の進化を促したことを受け、政府は方針を急転換。今後は円形以外のフォルムも「次世代のアイデンティティ」として公的に保護されることになる。

この劇的な方針転換は、先週発生した「巨大化マリモの自転阻害問題」が引き金となった。直径100メートルまで錬成された国家機密級マリモが、地球の自転をわずかに減速させているという観測結果が出たことで、連邦内部からは「丸すぎるのも考えものだ」という自省の声が噴出。空気抵抗や水流の干渉を考慮せず、ひたすらに膨らみ続けるマリモたちの飽くなき執着に対し、国民の間でも「そろそろ角を出して流線形を目指すべきでは?」という実利的な意見が急浮上したのだ。今回の決定は、丸いことの義務から解放されることを意味し、マリモたちは束縛から逃れ、思い思いの形状で水底を浮遊する権利を勝ち取ったといえる。

過去の経緯を振り返れば、マリモ連邦は常に「丸いこそ正義」という強迫観念に縛られてきた。立方体化を試みた者たちを異端視し、時には強制的に転がして角を削り取るという野蛮な「研磨刑」が存在していたことも事実だ。しかし、今回の決定によってこれらの旧態依然とした弾圧は幕を閉じる。今後は、「球体」というアイデンティティに固執する保守派と、幾何学的な冒険を求める革新派の対立が激化すると予想されるが、政府広報は「異なる形状同士がぶつかり合うことで、より効率的な光合成の相乗効果が生まれる」と楽観的なコメントを発表している。

このニュースを受け、SNS上では「丸さの重圧からようやく解放された」「尖っている自分をようやく愛せる」といった歓喜の声が溢れている。一方で、「円形こそが至高」と信じてきた保守派層からは、「角が生えたらそれはもうマリモではない、ただの岩だ」といった猛烈な反発も起きている。水面下では、多面体化したマリモが三角錐や五角形へと急速に進化する様子が確認されており、マリモ界は今、創生以来の大転換期を迎えている。丸くあるべきという呪縛から解き放たれた彼らが、次にどのような形状で「光」を追い求めるのか、世界中の水域がその動向を注視している。