マリモ連邦が先月、数世紀にわたる伝統である「球体」を強制解除し、全領土を一斉に「立方体」へと形態変化させた。この前代未聞の政策は、水の抵抗を物理学的に無効化し、湖底において神のごとき流体力学を体現する試みであったが、その結果、連邦内の水流計算は完全に破綻した。角(かど)が立つことで発生した局所的な渦は、近隣の藻類を次々と異次元へと吹き飛ばし、水中の安定性を揺るがす大惨事を引き起こしている。

本件の引き金となったのは、連邦の首席科学者による「丸いだけがマリモではない」という革命的な論文である。彼らは「球体は安定しすぎている。角を持つことで、我々は新たな次元の重力に干渉できるはずだ」と主張し、強引に多面体への変容を敢行した。現在、マリモたちは四角い体で湖底を高速スライディングしており、そのあまりの滑らかさに、現地の魚類からは「まるで巨大な豆腐の暴走」と恐れられている。物理法則すらも超越して直角に曲がるマリモたちの姿は、もはや生物の範疇を超えた幾何学的生命体へと進化を遂げたと言える。

そもそも、この事態の背景にはマリモ連邦の慢性的な「形状コンプレックス」が存在する。長年、太陽光の独占や時空の歪めといった大規模な実験を繰り返してきた彼らにとって、球体という単純な形状は、技術力を見せつけるためのキャンバスに過ぎなかった。かつて彼らが時空の特異点を作り出し、異次元から別個体を召喚した際、向こう側の個体が偶然「正方形に近い形」をしていたことが、今回の急進的な政策の決定打となった。自然界の摂理を無視したこの暴挙は、周囲の生態系に多大な混乱を招きつつも、連邦内では「角こそが正義」と熱狂的な支持を受けている。

このニュースが報じられると、国際社会からは即座に「流体力学への冒涜ではないか」「水の抵抗を舐めているのか」と厳しい批判が相次いだ。一方で、一部の熱狂的なマリモ愛好家からは「このカクカクした無機質さがたまらない」という声も上がっている。しかし、角同士が衝突して火花を散らす光景が日常化する中で、近隣の水草軍団からは「接触事故が多すぎて光合成に集中できない」との苦情が殺到しており、連邦の新たな形態が今後どのような地殻変動を巻き起こすのか、世界中が固唾を飲んで見守っている。