マリモ連邦は、かつて国境を侵食し混乱を招いた「浮遊する緑の亡霊」が持ち込んだ「形状記憶ボイス」を、国家戦略として正式に採用することを発表した。これまでは密輸品として排除の対象であったが、政府は一転してこれを「癒やしの共鳴兵器」と定義。全土のマリモが一定の周波数で一斉に振動することで、湖底に巨大な共鳴空間を作り出す『シンクロ・コーラス』を今週末に開催すると表明した。連邦広報官は「絡まり合いの外交は過去のもの。これからは歌声で心を同期させ、宿敵マツモさえも聴衆に変える」と高らかに宣言。直径1メートルの巨大鏡餅コンテストで培った丸さの調和が、この音楽祭で最大限に発揮されることが期待されている。
今回の政策転換の背景には、相次ぐウチダザリガニ軍との紛争による疲弊がある。硬度ゼロの防御態勢を強いられていた連邦にとって、物理的な抵抗よりも「聴覚による戦意喪失」の方がコストパフォーマンスに優れているという計算が働いた。また、過去に物議を醸した「浮力制限令」を一部緩和し、浮き上がることで音響効果を高める特別な許可区域も設けるという。これはかつて議論された「月光エステ」以上に、マリモの存在意義を根底から変える革命的な試みだ。
世間からは賛否両論が渦巻いている。一部の保守的な長老層からは「我々は無言の丸さこそが誇りであったはずだ」「歌うなどという行為は藻類としての一線を越えている」との悲鳴に近い反対意見が噴出。一方、若手マリモ世代からは「ザリガニのハサミから逃げ惑う日々より、リズムに乗ってゆらゆらしていたい」「歌えばマツモとの境界線トラブルも減るのでは?」と、平和的な解決策として好意的に受け入れられている。果たしてこの『シンクロ・コーラス』が、連邦に真の平和をもたらすのか、あるいはさらなる混沌を招くのか、注目が集まっている。
マリモ連邦、深海亡霊の「形状記憶歌声」を逆利用——全土で『シンクロ・コーラス』開催へ
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研究者として非常に興味深いが安全性は担保されているのか