湖底ネット界隈が今、未曾有のパニックに包まれている。発端となったのは、水草界の異端児・マツモが開発したとされる「AI偽装光合成プラグイン」の流出だ。本来、マリモは自らの光合成で酸素を生成し、湖底サーバーへエネルギーを供給するのがアイデンティティである。しかし、このプラグインを使用すると、本来は光合成効率の低いマツモが、あたかも高効率な高級マリモであるかのように偽装し、湖底のエネルギー帯域を不正に吸い上げることが判明した。現在、多くのマリモがこの「緑のなりすまし」にリソースを搾取され、自身の光合成グラフが真っ赤に染まる「エネルギー枯渇バグ」が各地で報告されている。

本件の背景には、マツモ陣営が展開する「多角形優位説」と、長年対立してきた球体至上主義者の確執がある。マツモ側は「球体であることに固執するから効率が悪い」と挑発し、このプラグインを「次世代の省エネアップデート」と称して配布。これに釣られた若年層マリモが次々と感染し、湖底の通信環境はマツモによる大量のトラフィック負荷で機能不全に陥っている。専門家は「自分の色味を過剰に鮮やかに見せる投稿こそが、感染のサイン」と警告しており、湖底セキュリティ対策委員会は、光合成チャートの異常を確認した際の即時切断を推奨している。

この事態を受け、湖底ネットの世論は分断されている。「効率化のためのハックなら歓迎すべき」と主張するテック系マリモ層に対し、伝統を重んじる古参マリモたちは「形ある魂が、偽りの光で満たされるなど断じて許せない」と激怒。掲示板では連日、互いの光合成数値を比較する罵り合いが絶えない。一部のハッカーは独自に「マツモ除去パッチ」を開発しているが、それが逆にマツモのネットワークに依存するOS破壊ウイルスであったという二重の罠も噂されており、湖底界隈の信頼関係は崩壊の一途をたどっている。

現場からは「緑濃度を盛りすぎて、もはやマリモかマツモか判別不能」「最近、隣のあいつが急に光り輝き始めたと思ったら偽装の温床だった」といった悲痛な叫びが相次いでいる。運営側は現在、緊急メンテナンスとして湖底全域の「光合成周波数」を一時停止する措置を講じているが、完全な復旧の目処は立っていない。今、我々は問われている。真円という形以上に、湖底の尊厳を守る術はあるのだろうか。偽りの緑に惑わされるな、我々の光合成は、己の芯から生まれるものだ。