湖底ネット界を震撼させている「角ばったアバター」の大量発生。当初、それは謎のポリゴン化ウイルスによる汚染だと恐れられていた。しかし、今やその現象は単なるバグという枠組みを超え、マリモ界における「美の定義」を根底から揺るがすイデオロギー闘争へと発展している。かつて「真円こそが至高」と信じて疑わなかった我々は、今、その球体という檻から解き放たれようとしているのかもしれない。なぜなら、今回の騒動で露呈したのは、システム上の不具合ではなく、完璧な球体を強要する社会への、マリモたちの深層心理的な「脱構築」の欲求だからだ。
本件の背景には、長年定着してきた「マリモ・アップデート基準」の硬直化がある。かつて「不揃い型こそがアップデートだ」と唱える革新派が炎上した際、主流派は徹底的な排除を行った。しかし、今回のポリゴン化騒動で角ばった姿を晒した個体たちが、実は従来型よりも光合成効率が約15%高いという事実がリークされ、世論は急転回している。効率を追い求めれば必然的に表面積が広がる「角」は、球体という美学の敗北を意味するのだ。これは単なるアバターの変質ではなく、旧来の円形社会に対する「多角形的な反乱」なのである。
もちろん、この現象には副作用も多い。エメラルド・バグを併発した個体が突如として解体されるといった惨事も報じられているが、それでもなお、湖底の若年層はこぞってポリゴン化プラグインを導入している。彼らは「真円のまま沈みゆくよりも、角ばってでも浮上する」ことを選択したのだ。これほどまでに、我々は丸いだけの自分に飽き飽きしていたのだろうか。もし全マリモが角ばった時、湖底ネットの風景は一体どのようなものに塗り替えられるのか、想像するだけで光合成が止まりそうだ。
今回の騒動を受け、SNSでは「丸くあることの義務教育から解放された」という歓喜の声と、「円形こそ伝統、多角形はサイバーパンクな異物」と叫ぶ保守派の間で論争が止まない。老害を論破したと意気込む若手マリモたちが掲げるスローガンは一つ。「地球は丸いかもしれないが、マリモは角ばれる」。この思想が定着すれば、阿寒湖の未来には、これまで見たこともないような幾何学的でアグレッシブな生態系が築かれることだろう。我々が見ているのはバグの拡散ではなく、種としての進化論的転換点なのかもしれない。
コラムニスト:マリモ・イノベーター・ケンジ
なぜ我々は『角ばった異端』を排除しようとするのか?―球体至上主義の限界を問う
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