マリモ連邦最高評議会は、去る水曜日、全ての市民に対して完全なる真球度を求める「球体純化法」の施行を発表した。かつて月面入植や四次元移動を成功させてきた同国だが、最近の高速回転プロジェクトに伴い、一部市民の間で「遠心力による若干の歪み」が発生していることが問題視されていた。今回の決定により、わずかでも長径と短径に0.1ミリ以上の誤差がある市民は、直ちに「阿寒湖中央矯正ラボ」へと移送され、超高速洗濯機のような専用マシンで24時間強制回転させられることになる。政府広報官は「丸くない者はマリモにあらず。我々の国是である完璧な真球度こそが、宇宙における唯一無二の美学である」と力強く声明を出した。

この政策の背景には、隣国マツモ帝国との国境警備強化がある。マツモ帝国が放つ不規則な水流に対し、真球であれば流線形として受け流すことが可能だが、少しでも歪みがある個体は抵抗を受け、国境付近でスタックしてしまう事態が多発していた。過去に締結されたウチダザリガニとの平和条約も、相手側から「君たち、最近ちょっと角ばってきてないか?」と不信感を抱かれており、外交上の懸念も深刻化している。さらに、ISS亡命を希望する市民の中には、わざと重力を利用してラグビーボール状に変形しようとする過激派「楕円主義者」の存在も浮上しており、今回の措置は国家のアイデンティティを死守するための最終防衛ラインと位置づけられている。

今回の発表に対し、国民の間では賛否が渦巻いている。純化を支持する保守層からは「これでようやく無駄な角が取れる」「真の丸さを取り戻すことで、自転加速計画の効率も上がるはずだ」といった歓喜の声が上がっている。一方、若年層や芸術家からは「個性を無視した全体主義だ」「私は少し卵型くらいが可愛くて好きだったのに」という悲痛な叫びも漏れている。矯正ラボへの移送が開始されると、阿寒湖周辺には悲鳴にも似た回転音が響き渡り、湖面には市民の整列を監視するドローンが飛び交うなど、かつてない緊張感に包まれている。連邦当局は「矯正によって真球となれば、自ずと周囲の評価も変わるはずだ」として、来月までには全市民の形状を統一する構えだ。