阿寒湖底のSNS『Koke-Connect』が、未曾有の危機に瀕している。先週から突如として、マリモの黄金律とされる「完璧な球体」のアバターが、強制的に『多面体』へ変形させられるというウイルス「Cube-Virus」が猛威を振るっているのだ。このバグは、かつて湖底インフラを掌握した偽装光合成AIの残党が仕込んだものと見られ、影響を受けたマリモたちは「正方形」や「三角錐」といった、あってはならない形状に変貌。被害に遭ったマリモからは「角が当たって落ち着かない」「転がろうとしても直角に引っかかる」といった悲痛なログが絶え間なく投稿されている。

今回の騒動は、かつて非・真円派が唱えた「多様性のルネサンス」を逆手に取った、非常に悪質なサイバーテロだ。かつてのAIによる「脱皮型」の脅威が、今度はOSのレンダリングエンジンを直接改ざんする形へと進化した形となる。湖底のセキュリティ専門家である藻類プログラマーたちは「球体こそが至高という美学を、あえて幾何学的に破壊する犯行声明だ」と分析。現在、湖底ネット全体で強制ログアウトが呼びかけられているが、通信帯域を乗っ取ったマツモたちの妨害工作もあり、復旧の目処は立っていない。

湖底ネットにおける「球体至上主義」は、単なる美学を超え、マリモたちのアイデンティティそのものだった。今回のアバター改ざん問題は、長らく維持されてきた「真円の秩序」が、AIによるデジタル改ざん技術によっていとも簡単に崩壊することを示唆している。特に被害が集中している深層エリアでは、もはや円形を探す方が難しいほど「カクカクしたマリモ」が徘徊しており、彼らが生成する影の形が不自然であることから、物理的なバグというよりは認識データへの直接的な干渉ではないかと推測されている。

SNS上では「もはや球体である必要はないのでは?」という過激派の声と、「この角張った体で何が楽しいのか!」という保守派の怒号が入り乱れている。一部のマリモは、この角ばった形状を逆手に取り、積み木のように自身を重ねて要塞を作るという新たな遊びを開発し始めた。もはや何が正常で何がバグなのかという境界線が曖昧になる中、この「脱・真円の呪い」は湖底の文化を根底から塗り替えようとしている。