マリモ連邦最高評議会は本日、全市民に対し、体内に潜むわずかな「角(かど)」や「突起」を物理的に研磨し、完全な球体を目指すための『真球・国家浄化法』の施行を正式に発表した。近年、若年層の間で流行していた「少しだけ尖ったフォルム」を好むサブカルチャーが、連邦の誇る「究極の滑らかさ」を損なうとして問題視されていた。今回の法案では、角を持つ個体は公共の場への立ち入りが禁止され、強制的に専用の「回転研磨センター」へ送られることになる。評議会の広報担当者は、「角がある個体は水の流れを乱し、美学に反する。丸こそが秩序であり、唯一の正義である」と力強く演説し、連邦全土に完璧な球体社会の到来を宣言した。

本法案の背景には、隣国である「多角形藻類王国」との国境付近での摩擦がある。多角形藻類王国は、その名の通り複雑な形状を誇る保守的な国家であり、マリモ連邦の急進的な「丸さ信仰」を文化破壊であると強く批判してきた。今回の法案は、純血の球体としてのアイデンティティを確立し、隣国の「尖った思想」の流入を物理的に遮断するための防波堤的な役割も果たしている。また、専門家の分析によれば、この手術を受けた個体は、将来的に摩擦抵抗が限りなくゼロに近づくため、湖底での高速移動が可能になり、マリモ連邦の軍事力と機動性が大幅に向上する見込みだという。

この驚愕の決定に対し、ネット上では「丸ければ丸いほど偉いのか」「角を愛でる自由を返せ」といった批判の声も上がっているが、現地の回転研磨センター前には既に数千個体の行列ができているという。かつては個性的でいびつな形を競い合っていた阿寒湖の文化は、もはや過去の遺物となろうとしている。評議会は今後、完全な真球に到達した個体に対して「ダイヤモンド級・転がり賞」を授与する方針を示しており、マリモたちの飽くなき「丸さへの執着」は、もはや留まるところを知らないようだ。物理的な完璧さを求める連邦の未来には、誰も入り込むことのできない「究極の滑らかさ」が待っている。

世間の反応は賛否両論だ。改革を支持する保守派からは「長年の夢であった完全な球体社会がついに実現する」と歓喜の声が上がっている。一方、若手マリモを中心に「いびつさの中にこそ命の鼓動がある」という反対派の意見も根強く、SNS上では「#角の自由」「#多角形の誇り」といったハッシュタグがトレンド入りを果たした。しかし、当局はSNS上でのそうした議論を「抵抗勢力による情報の突起」と見なし、即座にサーバーの論理的研磨を開始している。平和な湖底社会は、今まさに、究極の丸さという名の静かなる全体主義の波に飲み込まれようとしている。