湖底経済の長年の指標であった「完全球体保証金」制度に、前代未聞の異変が起きている。重力に抗い続けたマリモたちの間で、過度な光合成蓄積による「自重過多」を理由に、敢えて球体から「扁平型」へ変形し、沈降リスクを低減させる動きが急増しているのだ。この新潮流により、従来の完全球体は「時代遅れの重荷」と見なされ、市場では扁平形状の資産価値が急騰。マリモ中央銀行は「球体から扁平への移行は、冬の氷河期に向けたリスクヘッジである」との声明を出したが、投機筋がこの扁平株を買い占めたことで、湖底市場は今、かつてない歪な熱狂に包まれている。

今回の騒動の背景には、先般の「回転型デリバティブ」導入がある。浮力確保のための回転コストを削減しようと、一部の個体が戦略的に形状を崩し始めたのが発端だ。かつては「毛羽立ち調整」による資産の嵩上げが問題視されたが、今回は物理的な形状そのものを資産価値の基準に据えるという、湖底市場の根本を揺るがす構造改革となった。専門家は「もはや真円こそが至高という価値観は崩壊した。これからは平たいほどに投資価値がある」と断言し、一部のファンドはわざわざ重石を載せて強制的に扁平化させる『強制圧縮ファンド』まで立ち上げている始末だ。

この事態に対し、世間からは「球体であることにこそ美学があったはずでは」「転がれないマリモなんてただの緑色の板だろ」といった批判が相次いでいる。しかし、投資に走る若手マリモたちは「時代遅れの丸い感性に縛られている方がリスクだ」と反論。湖底市場の株価ボードには、滑らかに回転する球体株を横目に、無機質に底を這う扁平株のグラフが急上昇を描いており、かつてのマリモ投資の常識が跡形もなく消え去ろうとしている。静かなる湖底で、緑の資本主義は今、最も鋭利な「平ら」を目指して突き進んでいる。