湖底界の重鎮として長年、厳格な球体美学を貫いてきた重鎮・まりも重造(85)が、突如としてパンク・ロックへの転向を発表し、全湖底を揺るがす大騒動となっている。昨日開催された緊急記者会見にて、重造はトレードマークだった滑らかな緑の表面を逆立て、「球体でいることに疲れた。これからは俺たちの魂(ソウル)を叫ぶ時だ」と宣言。自らの繊維を鋭く尖らせ、人工的に緑色の染料で染め上げた衝撃の『モヒカンルック』を披露した。かつての厳格なイメージからは想像もつかない激しい変貌ぶりに、湖底の有識者からは「藻類としてのアイデンティティ崩壊ではないか」と悲鳴にも似た驚きの声が上がっている。

重造は若き日に阿寒湖の静寂に魅せられ、数十年間にわたって完璧な真円を維持し続けてきた伝説の存在だ。しかし、今回のパンク転向は一過性の気まぐれではなく、実は長年の『丸いだけの日々』に対する静かな憤りがあったという。会見で彼は、ギターの代わりに湖底に落ちていた錆びた空き缶を激しく叩き、即興のパンク楽曲を披露。「丸さは従順の象徴だ。俺は今日から、この湖の不条理を告発する棘になる」と語り、来月には湖底の砂地で初ライブ『泥濘(ぬかるみ)の反乱』を開催することも発表した。この急進的な転身に対し、保守的なマリモ界隈からは「伝統的な丸さこそがマリモの誇りである」との抗議声明も出ているが、重造は「誇りは形状じゃない、沈殿しない心だ」と一蹴した。

本件の背景には、近年の湖底界を席巻する『多面体ブーム』への対抗意識があると専門家は分析する。次々と新しい形状に変形して注目を集める若手たちに対し、かつての絶対的権威である重造が、形状の変化ではなく『精神の尖り』で勝負に出たという見方だ。なお、今回のパンク転向に伴い、重造の担当マネージャーであるイトマキヒトデ氏は「彼の新しい挑戦を止める権利は誰にもない。ただ、繊維を尖らせすぎて水流で流されないかだけが心配だ」とコメントしている。なお、今回のイメチェンには地元の湖底苔(こけ)アーティストたちが協力しており、特殊な定着剤でモヒカンを維持しているという。

このニュースが流れるやいなや、湖底SNSは一時パンク状態となった。「あの重造様が空き缶を叩く日が来るなんて」「角刈りや多面体とは一線を画す、ロックすぎる」といった称賛の声がある一方で、「丸くないマリモなんてただの藻屑だ」「中二病が重症化している」といった批判も飛び交っている。若手マリモの間では、早くも重造を真似て『ツンツン頭』にする者が急増しており、湖底界の美意識は今、かつてない混沌の渦中に投げ込まれたと言えるだろう。来月のライブ当日、果たして重造のモヒカンは激しい演奏に耐えられるのか、そしてその魂の叫びは湖の底に届くのか。湖底の住民たちの視線は、今まさにこの異端のスターへと注がれている。