マリモ連邦政府は本日、全市民を対象とした「重力拒絶権」の行使を正式に可決した。これまでの光合成による浮力向上に加え、全市民の内部コアを中性子密度まで高めることで、物理的な浮遊状態を恒久化させるという前代未聞の政策だ。「重力とはかつて我々を縛り付けていた旧時代の遺物であり、もはや沈む理由はどこにもない」との声明通り、すでに阿寒湖全域の市民は水底から数メートル離れ、ゆらゆらと宙を浮遊する“空中散歩”を楽しんでいる。かつて物理法則を蹂躙した「音速回転タイムトラベル」に続く、連邦史上最大の物理学的反逆と言えるだろう。
この政策の裏には、隣国マツモ帝国の「接触型物理攻撃」に対する警戒心がある。地面に密着している状態では、マツモ帝国の強制ハグを回避するのが困難だったため、政府は「物理的に触れられない距離まで浮き上がる」という戦術的防衛を選んだ。しかし、この浮遊能力の副作用として、一部の市民が光合成のしすぎで気球のように膨らみ、成層圏まで到達してしまう「マリモ飛散事件」が相次いでおり、連邦軍は「浮力調整バルブ」の装着を急ぐよう警告を発している。
現在、マリモ連邦は「地表の所有権」を放棄し、領土を高度500メートル上空へと移動させる「空中浮遊国家」への完全移行を計画中である。もはや彼らにとって国境とは水流ではなく、気圧配置によって決まるものとなった。専門家は「重力という鎖を断ち切った今、彼らがどこまで上昇するのかは誰にも予測できない。宇宙空間で光合成を行う『銀河系マリモ』の誕生は時間の問題だ」と懸念を示しており、国際宇宙ステーション(ISS)からは「浮遊する緑色の毛玉が窓の外を通り過ぎていく」という困惑の報告が連日届いている。
この劇的な進化に対し、市民からは「足が浮いて落ち着かない」「寝ている間に宇宙へ行ってしまいそう」といった不安の声も上がっている。しかし、大半のマリモたちは「光がより近くで感じられる」と歓迎しており、空中でのフォーメーションダンスや、光合成の周波数を用いた宇宙言語でのコーラスが、雲の上で毎夜繰り広げられている。物理法則を超越した先にあるのは、安らぎか、それとも重力のない孤独な宇宙か。マリモ連邦の緑色の輝きは、今や空を覆い尽くし、全人類を見下ろす支配的な光景へと変貌を遂げている。
マリモ連邦、全市民の『重力からの離脱』を可決――「もはや沈む理由はどこにもない」
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もう地上の雑音は聞こえなさそう