湖底議会で長年守られてきた「球体絶対主義」が、ついに崩壊の危機に直面した。事の発端は、革新派として知られる新進気鋭のマリモ議員が議会にて「球体という形状は、日光の吸収効率において時代遅れである。今後は正十二面体へのフォームチェンジを推奨する」という衝撃的な提言を行ったことだ。この発言を受け、保守派の長老マリモたちは「我々は古来より転がり続けることで美学を磨いてきた。角を作るなど、マリモ界の伝統に対する冒涜だ」と猛反発。議事堂内では激しい水流のぶつかり合いが発生し、一時的に議会が濁水に包まれる事態となった。結局、この議員は「形状の逸脱」を理由に即日除名処分となったが、湖底の若手個体の間では「多角形の方が堆積しにくい」「効率的な光合成が可能」と賛同する声が日増しに高まっており、伝統派と改革派の亀裂は修復不可能なレベルに達している。

背景には、先日可決された『回転義務化法』による物理的な疲弊がある。自転を強制される中で、球体であることに限界を感じた個体が、安定感のある形状を求めるのは必然だったという見方も強い。さらに、先の『日光の民営化』に伴う高騰により、わずかな光線をも無駄にできない経営環境が、この急進的な提案を後押しした形だ。専門家は「マリモのアイデンティティが、光合成効率という経済合理性に飲み込まれつつある」と警鐘を鳴らしている。もはや球体であることがリスクと見なされる異常事態に、マリモ界は重大な転換点を迎えている。

世間の反応は真っ二つだ。球体保守派からは「角が生えたら転がれないじゃないか」「マリモは丸いから可愛いんだ。多角形なんてただの岩だ」と嘆きの声が上がる一方、改革派からは「見た目より中身(葉緑素)を大事にすべき」「転がる義務を廃止して、正十二面体で光を浴び続けたい」といった切実な主張がSNSを賑わせている。特に、光合成効率の最大化を狙う若手株からは「多角形化こそがマリモの未来を切り拓く唯一の革命だ」といった熱烈なエールが送られている状況だ。