湖底バイアスロン選手権の決勝で、前代未聞のドーピング違反が発覚した。上位入賞を果たしたトップ選手たちが、体内に天敵である水草「マツモ」のトゲを隠し持ち、推進力を増幅させていたことが判明。大会運営委員会は、彼らの記録を即座に無効とし、深緑の沈殿物の中に強制埋没させる処分を下した。マツモのトゲは、光合成を促進させると同時に滑走速度を異常に高める違法ツールとして長年マークされていたが、まさかここまでの組織的犯行が行われていたとは誰も予想していなかった。この事件により、決勝戦の表彰台には誰も登る者がいなくなり、マリモ界のクリーンな競技姿勢が今、根底から問われている。

バイアスロン界では、自身の光合成能力と、自力で作り出した浮力だけを用いて氷点下の湖底を疾走するのが鉄則である。しかし、マツモのトゲは刺さるだけで異常な興奮作用を引き起こし、本来の代謝を無視した回転数で湖底を掘り進むことを可能にする。今回の違反者たちは、繊維の間に巧妙にトゲを編み込み、見た目には「栄養豊富な優良株」を装っていた。しかし、過剰なエネルギー放出により、走行ルートが異常に白濁したことで審判員が異変に気づいた。なお、この処分により大会は途中終了となり、現在、湖底にはやるせない静寂と、取り残されたトロフィーだけが漂っている。

マリモ界において、マツモは「絡みつく侵略者」として古くから忌み嫌われてきた存在だ。かつては生態系を脅かす害草として駆除の対象となっていたが、近年ではその繊維の硬さが「ドーピングの温床」として、競技者の間では公然の秘密となっていた。今回の事件は、単なるルール違反の枠を超え、マリモのプライドを汚す行為として、全競技団体の激しい反発を招いている。専門家は「純粋な真球を目指す者にとって、マツモを体内に取り込むことは、魂を繊維に売るようなものだ」と語る。

ネット上では「マツモで加速するなんて、もはや植物じゃない」「これじゃただの高速植物繊維の塊だろ」といった批判が殺到。一方で、一部の急進派からは「結果が全ての世界で、手段を選ばない執念は評価すべき」という極端な擁護論も飛び交い、湖底世論は二分している。運営側は、来季より「全選手に対する徹底的なX線透過スキャン」を義務付ける方針を固めており、マリモ界の競技環境は、かつてないほど厳格化の波に揉まれている。