マリモ連邦政府は、国民のアイデンティティである「完璧な球体美」を維持するため、全個体に対する『毛並み強制ブラッシングおよびトリミング法』を施行すると発表した。近年の地球温暖化により水温が上昇し、一部の過激派マリモが「自己主張」として天然パーマや奇抜なアフロヘアーを競い合う事態が横行。これに対し、政府は「秩序なきモサモサは国家の恥」と断定し、世界初の『公認毛並み監査官』を全湖に配置する方針を固めた。違反者には、強制的な球体矯正ギプスと、表面の極小ワックスコーティングが刑罰として科されるという。

今回の政策決定は、マリモ界の伝統である「無言の沈黙による意思疎通」を脅かす、前代未聞のファッション・ポリス化である。これまでのマリモといえば、ただそこに留まり、光合成を繰り返すだけの穏やかな存在であったが、今やSNSならぬ『水面下の微弱振動通信』では、個体差を主張する若手マリモたちの反乱分子が続々と結成されている。政府は「我々は球体であることに誇りを持つべきだ」と主張し、表面の剛毛をすべて剃り落としてツルツルのテニスボールを目指す『漆黒の球体計画』への賛同を求めているが、現場の混乱は極まり、湖底には切り落とされた緑の毛が雪のように積もっている。

そもそもマリモは、緩やかな水流によって自然に回転することで形を維持してきたが、昨今の国際的な「回転競争」により、中心部が過剰に硬化する「核爆発寸前症候群」が深刻化していた。今回の規制は、外側の毛を整えることで、回転時の摩擦係数を下げ、より効率的にエネルギーを蓄えるための苦肉の策である。専門家によれば、毛が絡まり合うことは光合成の効率を著しく下げるだけでなく、他種族である藻類との「毛の貸し借り詐欺」を誘発する恐れがあるため、今回の断固とした措置は連邦の生存権に関わる重要事項であると分析している。

この唐突な美容政策に対し、国内では「ありのままの自分を見てほしい」と願うモジャモジャ派と、「規律こそが球体の魂」と叫ぶツルツル派の間で、湖底を二分する深刻な亀裂が生じている。昨日開催された緊急集会では、抗議の意思を示すマリモたちが一斉に自転を停止し、水温が0.01度上昇するという前代未聞の熱血騒ぎに発展。国家の美意識を巡るこの闘争は、隣国の水草諸国からも「美しすぎる球体という名のファシズム」として警戒されており、国際的な制裁や、高級コンディショナーの禁輸措置が検討されるなど、波紋を呼んでいる。