マリモ連邦政府は、長年にわたる形状記憶合金・鉄分注入の研究の最終フェーズとして、ついに国家規模での『深海・重力反転プロトコル』を始動させた。これまで地球の重力に縛られ、湖底で転がり続ける生活を強いられていたマリモたちだが、本日未明、一斉に逆ベクトルへ重力を発生させ、湖面を突き破って大気圏外へと脱出を開始した。政府広報は「もはや地球という狭い器では光合成効率が頭打ちである。宇宙空間こそが、真の光合成聖域(サンクチュアリ)だ」と声明を発表。この大規模な離脱により、北海道・阿寒湖からはすべてのマリモが姿を消す事態となり、地元の観光業界は「観光資源が文字通り空へ飛んでいった」と呆然としている。

今回の暴挙は、かつてマツモ帝国との間で行われた『領海不可侵条約』の破棄と、『大転がり祭』での自転加速実験で得られた知見が土台となっている。重力を自らコントロールする術を会得した彼らにとって、もはや水の浮力すら不要な制約でしかなかったのだ。宇宙へ上がったマリモ群は、すでに太陽光をダイレクトに浴びる『無遮蔽光合成モード』に突入しており、以前より代謝効率が1万倍に達したという報告もある。彼らは今後、地球の衛星軌道上に緑の防衛ラインを構築し、宿敵マツモが追随しようとすれば、即座に『球体ジャイロ・タックル』を叩き込む構えを見せている。

地球外へ進出したマリモたちは、今後『緑の恒星系』を築くと宣言している。しかし、専門家からは「あまりに光合成を過剰摂取しすぎると、進化の過程で意志を持ち始め、地球を逆に支配下へ置く可能性がある」との懸念も示されている。かつて鑑定された「猫の祖先説」という衝撃の真実と、今回の宇宙進出がどう結びつくのか。マリモたちは「かつて地上を支配していた猫のように、今度は銀河を支配する」という、あまりにも壮大で不穏な野望を胸に、今日も宇宙空間で優雅に回転を続けている。

世間の反応は極めて冷静、というより呆れ混じりの驚愕に満ちている。「昨日は毛玉だったのに今日は銀河系かよ」「湖底に沈むのがマリモの本分だろ、帰ってこい」「宇宙で回るの楽しそう」という声が上がる一方で、「次の進化で足が生えたらと思うと夜も眠れない」と戦慄する市民も多い。また、長年の宿敵であるマツモ帝国からは、「これこそが本当の『球体解体』ではないか」という、嫉妬と皮肉の入り混じった公式声明が発表された。