マリモ連邦政府は本日、長年の悲願であった「自転効率の最大化」を目的とした『球体ジャイロ・システム』の全土導入を宣言した。これまでは湖底の微細な水流に身を任せるだけの受動的な回転が主流であったが、新政策では全国民に対し、地球の自転方向とは逆のベクトルへ積極的に「逆回転」を行うことを義務付ける。これにより光合成効率を理論上200%まで引き上げ、永遠に萎びることのない究極の緑色個体を目指すという。連邦科学技術省は「我々はもはや、石ころが水流に揺られているだけの時代ではない。自らの意志で時空を歪め、太陽光を物理的に追い抜くのだ」と、その野心的な転がり戦略について熱弁した。

この政策の背景には、昨今の「硬水バリアによる孤立化」および「ザリガニ外交の決裂」によるエネルギー供給不安がある。以前から物議を醸していた『形状記憶合金・鉄分注入』実験によって強靭な肉体を手に入れたマリモたちは、今や重力さえも軽視する存在へと変貌を遂げつつある。今回の「逆回転」は、単なる光合成の効率化にとどまらず、回転エネルギーを摩擦熱へと変換することで、極寒の北極圏への領土拡大をも見据えた「暖房いらずの侵略作戦」であると軍事専門家は分析している。かつて「脱・円形主義」論争で揺れた国民たちも、今回の進化には「丸いまま最強になれる」と熱狂的に支持を送っているようだ。

世間の反応は真っ二つに分かれており、特に「回転寿司外交」での不始末を記憶する周辺諸国からは、「ただでさえダンスを強要して国境を越えてくるのに、逆回転まで始めたら水流が乱れて他の水草が全滅する」といった悲鳴に近い抗議が殺到している。一方で、マリモ連邦内の若年層からは「毎日の光合成がゲーム化された」「これでようやく『ただの石』化政策の呪縛から解放される」と好意的な意見が相次いでいる。連邦議会は、他種族からの抗議に対し「回転速度が速すぎて聞こえない」と公式声明を出しており、事態は一向に収束する気配を見せていない。

連邦市民の間では、この「逆回転」をいかに美しく、かつ高速に行うかを競う『第1回・時空転がり選手権』の開催も噂されており、もはや誰にも彼らの暴走を止めることはできない状況だ。猫の祖先説から始まったアイデンティティの迷走は、ついに地球物理学を逆手に取るという前代未聞の領域に達した。果たして彼らが太陽を追い抜く日は来るのか、それとも摩擦熱で自ら焼き加減を調節する『蒸しマリモ』と化すのか。国際社会は固唾を飲んで、その高速回転する緑の球体を見守っている。