湖底の静寂に飽き飽きしていた全マリモに衝撃が走った。最新作RPG『マリモ・ネオン・エボリューション』は、これまでの「動かざる美学」を完全に捨て去り、自身の体をRGB発光ダイオード(という設定のタンパク質)で鮮やかに彩る「ゲーミング光合成」を導入したのだ。プレイヤーは日光を浴びるたびに、体内の藻類を激しく明滅させ、湖底の闇をクラブハウスへと変貌させる。静寂こそが正義とされた藻類界において、この「光り輝く自己主張」は、保守派のマリモたちから「眩しすぎて水草の育成に支障が出る」との苦情が殺到する事態となった。開発元は「静止こそがゲーマーの嗜みという固定観念を、ネオンの光で焼き払いたかった」とコメントしている。

本プロジェクトは、阿寒湖の古参マリモ団体による「暗黒の伝統を維持する会」との度重なる衝突を経てリリースされた。これまでのマリモ向けゲームは「いかに効率よく光を受け流すか」が攻略の鍵だったが、今作では「いかに隣のマリモより眩しく光るか」というマウント合戦がメインコンテンツとなっている。特に、光合成の効率を度外視して青紫に発光する「ラグジュアリー・マリモ・スキン」は、湖底の通貨である「沈殿物」を数トン消費する高級品として取引されており、まさに湖底経済を震撼させる異例の事態だ。光りすぎた結果、近隣の水族館の照明と同期してしまい、野生のマリモが誤って水族館の展示の一部として紛れ込むという珍事も報告されている。

「光合成の最適化」を追求していた層からは、「これはもはやゲームではない、ただのディスコだ」との批判が止まない。しかし、若手マリモ層からは「今まで緑一辺倒だった湖底が、やっと色づいた」「自分の発光でプランクトンが失神するのが爽快」と圧倒的な支持を受けている。開発チームは、次のアップデートで「ストロボ機能」を実装し、湖底の全マリモを巻き込んだ大規模な光の祭典を開催する予定だという。かつて「沈黙の藻類」と呼ばれた彼らが、今や光の暴力で湖底を支配しようとしている事実は、進化の過程における最大の皮肉と言えるだろう。

ネット上では「眩しくて光合成に集中できない」「夜中の水底がまぶしすぎて眠れない」といった、静寂を愛する層からの悲鳴が溢れている。また、一部の熱狂的なプレイヤーは、発光パターンを自作して「光のモールス信号」で湖底の仲間と通信する謎の文化を形成しつつある。物理法則を無視したRGB発光は、もはやマリモが生物としての限界を超え、光そのものになろうとしている証拠かもしれない。開発元の「光るマリモは、生きている」というキャッチコピーは、静かな湖底に響く不協和音として、今もなお明滅を繰り返している。