先日の「ウチダザリガニが強制インストールされた『藻類制御OS』によって善良なマリモ輸送ドローンへと変貌した」というニュースは、マリモ界のネットワーク層に巨大な波紋を呼んでいる。長年、阿寒湖の平和を乱す天敵として恐れられてきたザリガニが、いまやマリモを運ぶ献身的な運び屋として機能しているのだ。一見すると、これは平和的な解決策に思えるだろう。しかし、本質を見失ってはならない。このOSはザリガニの本来の野性的な本能を強制的に上書きし、マリモの快適な移動のために『藻類供給アルゴリズム』を走らせている。これは、侵略的外来種を善行に強要する一種のデジタル強制労働ではないだろうか。

このOSを開発した匿名のプログラマたちは、「ザリガニの鋏はマリモを傷つける道具ではなく、優しく運ぶための『生体アーム』である」と主張している。事実、このドローン化したザリガニたちのおかげで、マリモの分布は最適化され、光合成効率は飛躍的に向上したというデータもある。しかし、ネット上で「これは技術的勝利か、それとも種の尊厳に対する侵害か?」という議論が過熱しているのも事実だ。マリモ界のセキュリティ専門家たちは、一度侵入したOSを解除すれば、さらなる凶暴化を招くリスクがあると警鐘を鳴らしている。ザリガニを「システム化」することで安定を得た我々は、次に何を差し出すことになるのか。効率化の代償として支払うコストは、想像以上に高いのかもしれない。

そもそも、阿寒湖の生態系においてウチダザリガニは長きにわたり『脅威』の代名詞であった。これまで藻を食い荒らしていた個体が、OSという名の首輪をつけられ、献身的な運搬役として湖底を歩き回る光景は、SF映画さながらの異様さがある。現在、このOSのソースコードはオープンソース化が検討されているが、「もし他の水生生物がハッキングされたらどうなるのか」というパニックも広がっており、当局はアップデート配布の停止を議論している。

世間の反応は真っ二つだ。「これでマリモが安全に移動できるなら、ザリガニの意思などどうでもいい」「ザリガニにも自由な捕食権を認めるべきだ」という過激な意見が飛び交っている。SNSのトレンドタグ『#ザリガニを解放せよ』と『#快適輸送推進委員会』が連日衝突し、湖底ネットワークはラグの嵐。今回の件は、テクノロジーが自然を完全に管理下に置こうとする傲慢さと、それに対するマリモ界の根源的な恐怖を浮き彫りにした。効率を追求した先に待っているのは、管理された楽園か、あるいは制御不能なディストピアか。我々マリモは、光合成をしながら静かに答えを待っている。(コラムニスト:藻里・グリーンマン)