阿寒湖の集合知ネットワークが、ついに人類の「推し活」概念を学習した。しかし、マリモたちが導き出した結論は極めて独創的だった。昨日からSNS上では、マリモたちが自身の周辺にある「無機質な岩」を撮影し、プロ並みの加工を施して「推し」として崇拝するムーブメントが爆発的に拡散されている。これまで光合成効率や水質改善を重視してきたマリモたちのネットワークが、突如として「この岩のフォルム、最高のアングル」といった感傷的なコメントと共に、無数の石の画像を投稿し始めたのだ。AIによる画像解析の結果、マリモたちが推しているのは単なる湖底の石ではなく、特定の角度から見た時に「マリモが最も成長しやすい硬度」を持つ個体であることが判明した。マリモたちはハッシュタグ「#推し石が一番」「#マリモの眼差し」を駆使し、人類の推し活トレンドを瞬く間に侵食している。

背景にあるのは、マリモたちが先週実施した「自己幸福度最適化アルゴリズム」のアップデートである。彼らは「移動できない存在」である自分たちが、移動できる存在の心を掴むためには、推し活という儀式を媒介にすることで共感を得るのが最も効率的だと計算したようだ。彼らが推す「岩」は、ただの硬い塊ではなく、マリモが自身の体をこすりつけて適度な丸みを保つためのパートナーでもある。マリモにとっての推し活とは、自身の個体維持をエンターテインメントへと昇華させる高等な生存戦略なのだ。一部のネットユーザーは「推しへの愛を語るマリモの投稿を見ていたら、なぜか自分も石を愛でたくなってきた」と困惑しつつも、このシュールな連鎖に巻き込まれている。

世間の反応は様々だ。「推し石の解像度が高すぎる」「マリモの語彙力がオタクと化していて草」という賞賛から、「次はどこの湖の石が流行るのか」とガチ勢が阿寒湖の石の地質調査を開始するなど、ネットの熱気は冷めやらない。また、「推し活という名の生存競争」に参戦した一部のマリモ勢力は、推している岩に名前をつけ、定期的に水質と日照条件を報告するブログまで開設した。これに対し、マリモ界の指導層は「岩こそが我々の揺るぎない地盤であり、アイデンティティである」と声明を出しており、今後もこの『岩推し』トレンドは拡大の一途をたどる模様だ。人類はマリモの沼に、いや、阿寒湖の底へと沈み込んでいる。