阿寒湖のマリモたちが、ついに人間社会の働き方に革命を起こした。これまで「動かないこと」がアイデンティティだった彼らだが、最新の環境制御技術により、自らの浮き沈みを操作することでPCのカーソル移動やクリックを行う「マリモ式リモートワーク」を実現したのだ。朝になると湖底から水面へ浮上し、日中の光合成でエネルギーをチャージしながら、slackのスタンプ対応やメールの定型文返信を淡々とこなす姿が確認されている。

本来、マリモの成長は極めて緩慢だが、今回開発された「倍速光合成モード」により、彼らの体内時計は人間の勤務時間と完全に同期。特に「夕方18時になった瞬間に光合成をやめ、湖底に沈む」という強制終了機能は、残業が常態化する現代社会において「究極のワークライフバランス」と崇められている。一部の企業では「管理職よりも空気を読まないが、仕事は確実」として、マリモの採用を積極的に検討し始めているという。

この技術は、マリモの光合成による酸素放出量をデータ信号に変換する手法を用いている。実はマリモ自身は「仕事をしている」という自覚はなく、ただ自然の摂理に従っているだけなのだが、その無欲さがかえって「忖度のない完璧なルーチンワーク」を生み出している。専門家は「彼らはそもそも給与を要求せず、栄養塩があれば満足するため、究極の低コスト労働力となる可能性がある」と分析するが、同時に「マリモが有給休暇を申請し始めたら終わり」という懸念も示されている。

ネット上では「上司よりマリモの指示に従いたい」「沈む時間が早すぎる。ブラック企業も見習え」といった声が相次いでいる。一方で、マリモ側はこれに対して沈黙を守っており、彼らのSNS「MarimoConnect」では相変わらず「今日の光合成強度は85%」といった投稿が繰り返されているのみである。人間界の喧騒をよそに、彼らは今日も定時で静かに沈んでいく。